小ネタ集

□ハッピーバースティ! Byグレタ&ベアトリス
1ページ/1ページ



 血盟城の厨房では、少女二人が懸命に作業していた。周りの大人たちは微笑ましくそれを見守り、彼女たちが困っていればそっと手伝う。
 彼女たちは今、特大のケーキを作っている。それは"彼"を喜ばそうと二人で一から計画したものだ。材料も周りに手伝ってもらいながら、二人で揃えた。
「よぉし!」
 泡立ったクリームに、グレタは喜びの声を上げた。ベアトリスはひょこひょこと小刻みに釜戸を覗いて落ち着かない。
「大丈夫かな」
 生地はだんだんと膨らみ、大きなスポンジになってゆく。
「そろそろ出来たんじゃない? ベアトリス」
「うん」
 グレタに促され、ベアトリスは釜戸から生地を取り出した。しっかりとふわふわのスポンジになっていたことに安堵の息を吐き、二人は喜ぶ。
「やったぁ! うまく出来たよ、ベアトリス」
「よかった」
 厨房の外でそぅっと見守っていたメイドや兵士たちも、無事に生地が焼けたことに安堵の息を吐いた。
 腕まくりをしてグレタは気合いを入れる。今度は生地にクリームを塗るのだ。
 ゆっくりと生地を回しながら、ベラでしっかりとクリームを塗っていく。息を詰めて、斑が出来ないようによう慎重に。
 それをすべてのスポンジに塗るのには時間が掛かった。二人も少し疲れているようだ。周りのメイドや兵士は非常に心配そうであった。 こちらも息を詰めて見守っている。
「出来た」
「こっちも終わったよ」
 クリームを大量に塗った生地は力作。二人はそれをちっちゃな体を懸命に伸ばして積み重ねる。クリームを絞り、一つ一つ均等に乗せていく。ここまでくれば後は楽しい作業だ。
 大好きな人々を模った小さな人形を乗せていく。もちろん中央は今日の主役であるグレタの父と、その護衛兼名付け親の人形だ。その周りに様々な人形たちが飾られていく。さらにイチゴと蝋燭。高級品のチョコレート。どれも高級な品質で最高の品物。
 二人が喜んでくれるのを想像しながら、二人で一緒に作ってゆく。楽しくて、とてもわくわくしていた。
「やったぁー! 完成!」
 二人で手を合わせて完成を喜ぶ。
 職人の作るケーキには勝らないが、感情はしっかりと篭っている可愛らしいケーキだ。大人たちもにこにこと微笑み、そそくさと持ち場へと戻っていく。
「早く持っていこう」
「うん」
 あとは会場へと運ぶだけだ。
 華やかな会場の裏側へとケーキを運び、お着替えをして。手を繋いで会場へと躍り出る。

「グレタ、ベアトリス!」

 愛する人の声にグレタは駆け出した。グレタと手を繋いでいたベアトリスもユーリの下へダイブする。


「お父様!」
「魔王陛下!」


「「お誕生日おめでとう!」」





[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ