05/24の日記

05:27
スマX ピットとピカ
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 それは一瞬。合図とともに繰り出された攻撃は避ける暇もなく、ファイターに当たった。


「いやー、あれはかっこよかったね!」
 観客たちが満足げにしているのを複雑そうな表情で見ていたのは先程の試合のサドンデスで負けたピットだ。本人にすれば、あの敗北は完璧な屈辱だった。あの一瞬でやられるとは思ってなかったのだ。氷山で魚に喰われたときや交通事故をおこして場外へ飛ばされたときの悔しさよりもそれは勝っている。
「ピットも、惜しかったな」
 気を使われているように感じて、ピットは眉間に皺を寄せた。不機嫌だ。言葉をかけたフォックスは困り顔になった。
「ぽよ、ぽぉーよ」
 身体を大きく動かして懸命に何かを伝えようとするカービィだが、それも効果はない。しかし紅茶を入れるピーチはご機嫌だ。実にマイペースな姫様である。ピットに笑顔で紅茶を渡す。ピットも親切を仇で返すことは出来ないのか上品に紅茶を飲んだ。
「次の試合も頑張って」
「はい……」
 ピーチ姫にウィンクされてピットは空返事をした。遠くからどこか闘争心に満ちたマリオの視線が彼に突き刺さった。
「でも本当にはらはらした、どっちか勝つかわからなかったよ」
 興奮を抑えきれない様子の子供組みがわいわいと話を膨らませる。彼らは今まで予想した試合結果のメモを見ながら何度も何度も戦いをリプレイしており非常に勉強熱心だ。そこへファルコンが混ざったり、ポケモントレーナーが混ざるのがお約束である。
「ちょっと、さっきの試合見せてもらってもいいかな?」
 同じ時間に試合をしていたリンクやマルスが子供達へ話しかけるとリプレイを観賞する会が始まった。ピットも遠くから自身の戦いを見直すらしく落ち込みながら移動した。フォックスも、ピットが気になるのか一緒だ。それを見ていたメタナイトはナルシストな一面を発揮しさっさと鍛錬へと戻ってゆくらしかった。
 しょんぼりなピットを励ましたい、とひっそりと彼を親友と思っている(ここにいる全員がそうだが)ピカチュウは慌ただしく駆け出した。



「ピカッピカチュウッ」
「ふむ、彼を励ましたい……と」
「プリィ?」
 さて、ポケモンたちたちは集まって会議を開始した。唯一人間の言葉を話せるルカリオの波動の力も使って、彼を慰められないだろうか、とピカチュウは言う。プリンは歌いたくてうずうずしながら話を聞いているようだ。
 ルカリオは腕を組んだ。波動の力は確かにそういったことも出来る。試合に負けたり勝ったりするのはプレーヤーの腕自体でそれこそ敗北は山ほどあるとはいえ、ピカチュウはほっとけないと言っているし協力してもいいだろうかと。
「わかった、協力しよう」
「ピカーッ!」
「プリプリ?」
 ルカリオが頷くと、「有難う」とピカチュウが鳴いた。プリンも、話に流されながらも声を出した。

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