12/11の日記

04:03
電子獣/シャウタイ
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「  が咲く頃には帰ってくるって言ったのに、急に仕事が入って結局父さんは帰ってこなくてさ。それを思い出すから、ちょっと苦手なんだ。自分勝手だとは思うけど」
 理由を話すタイキは寂しげでけれどそれを上手くごまかすような穏やかな笑みを浮かべていた。納得しながらもどう返事を返せばいいものかとシャウトモンは視線を逸らし考えたがうまい言葉は見つからず、結局いつものようにストレートな言葉を紡いでいる。
「別に、いいんじゃねぇか? 嫌いってわけじゃないんだろ」
「うん」
 シャウトモンは一度そこで息を吸ってタイキを見上げた。
「なら好きになるまでオレがいてやる」
 その言葉に、タイキは一度目を見開いた。シャウトモン自身もそんなことを言うつもりはなかったのに、思ったことが口を継いで出たことに驚いていた。
 それならその気持ちが無くなるまで傍にいてやりたいという思い。いつかは別れが訪れることをわかっていながら、それでもそう約束してやりたいと思ったのだ。
 寂しいという気持ちをうまくごまかして、微笑む彼をほっとけない。
 「ありがとう」
 タイキはその言葉にゆるゆると泣きそうな顔を浮かべた。


 いつまでもタイキの傍に居られるわけではない。それでも。
 寂しさを忘れるまで、その花を好きになれるまで。彼の傍にいようと。シャウトモンはタイキの手をゆっくりと握った。




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