Show Girl

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「エルザが帰って来たぞー!」

あれ程までに騒がしかったギルドは一瞬で静まり返る。
そしてたった一人が帰って来たと言うだけで、今からこのギルドは別の意味で騒がしくなる事に…

バンッ!とギルドの扉が勢よく開き一堂は開かれた扉に視線を向ける。

「ただいま帰りましたー!」

元気よく叫んだのはエルザではなくルーシィだった。
姿を現わすのはエルザだと思っていたが、まさかのルーシィの登場により一時は唖然としたものの、‘その人’ではなかった事に安堵の息を吐く。

が、次の瞬間…

「今帰った」

数秒遅れて‘その人’は登場した。
皆が恐れているエルザが顔を出したのだ。

顔を出したのだが…実際には顔だけが出ていた。
エルザはと言うと、大量の荷物を乗せた荷物が扉につっかえていて中に入れないでいた。

「お帰りなさい!ルーシィにエルザ!」

「ミラさんただいまー!」

笑顔でミラに答えるルーシィは辺りをキョロキョロとしだす。
そして一人の人物を発見し、パァアッ!と花が咲いた様な満面の笑みを作りその人物目掛けて走り出した。

「ツバサー!!」

「うおッ…!?」

名前を呼ばれた方向に振り返ると、ルーシィが走り寄って来ていた。
その勢いのまま抱き着かれ、勢いを受け止める事に失敗した私は、座っていたカウンターの椅子から床へと落ちる。
ルーシィを抱える事にだけは成功。

「ただいまツバサ!」

「お、お帰りルーシィ」

「会いたかったわ〜!」

ツバサの上に乗っかっていたルーシィはそのままツバサを押し倒す。

端から見ればカップルがイチャイチャと久々の再会を喜んでいる様だ。
だがツバサからしてみれば、女同士のじゃれ合いと思っていたりする。
ルーシィがツバサに好意を寄せている事はギルド中が知っている。と言うか、見ただけで誰もが分かる。

だが当の本人ツバサは鈍感な上に同性の遊びの様だと思っている為、ルーシィを当然の様に抱きしめ返す。

自分の立場を分かっているのかいないのか…
外は男、中は女。
そんなツバサだからこそ出来るハグ返しだ。

一方エルザは未だ悪戦苦闘中。

顔に青筋を立てながら、今にも扉を突き破りそうな程に見るからにイライラしているご様子。
先程から試行錯誤をしながら、一生懸命荷台を引っ張り中へ入ろうと試みているのだがその扉より大きな荷物が邪魔をし、やはり荷物とセットでは入れない。

周りは冷や冷やとしながらエルザを見守る。
その側でナツとグレイは、ぎこちなく肩を組み合い冷や汗をかきつつエルザを見守る。

そんな中ツバサは悪戦苦闘するエルザに助け船を出す。
ルーシィを腕に抱えたまま魔力を解放し風の力で扉を通れるぐらいの荷物を中へと運んだ。

見守っていた周りはまた一つ安堵の息を吐く。
ナツとグレイに至っては、いつ自分達に絡んで来るのかと更に冷や汗を流す。

「すまないツバサ、助かった」

「お安いご用だ!お帰りエルザ」

「あぁ、ただいま。しかしツバサとルーシィは本当に仲が良いな。いっそのこと付き合えばいいじゃないか」

「ハハ…は、は」

とんでも無い事を言われた私はから笑いで返事をする。
腕の中のルーシィは両手を頬に当て、赤く染めながら照れていた。

「ナツとグレイは居るか?」

等々来た…!
と、ナツとグレイは今日一番の冷や汗を流しながら返事をする。

「え、エル…ザ」

「今日もお、おれたち仲良く…やってるぜ」

「本当にお前達も仲が良いな!いっそのこと付き合えばいいじゃないか」

「「は、ハハ……はッ!?」」


息ピッタリな二人にエルザは声をあげて笑う。
それが引き金となりギルド内には盛大な笑いが溢れる。

ナツとグレイは顔を見合わせ互いを睨み合った。
勿論、肩は抱き合ったままで。
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