Show Girl

□03
1ページ/5ページ


昔、大好きな男の子が居たんだ

それは本当に幼い時で五歳ぐらいだったけ?
毎日飽きもしないで、その子とやんちゃしたっけな

でも名前が全然思い出せない

 …忘れてしまったんだ

あれほど大好きだった筈なのにどうして思い出せないんだろう
小さい頃は無邪気で大きくなったら結婚しようね、とか言ってたっけな

でもそんな幸せな日々は続かなかった
親の仕事の都合で引っ越しをしなきゃ駄目だったから
大好きだったその子とは、必ずまた会おうね、と言ってサヨナラをした

今はまだ思い出したくもないが男の子は死んでしまったと後に聞かされた


涙がスーッと頬を伝った。
目を覚ますと頬は濡れて、涙を伝った跡が残っていた
それは、止まらず流れ続けた

そこでやっと気付く。
泣いているんだってことを

久し振りに見た夢は、遠い昔の唯一、記憶に残っていた夢だった

涙を拭って頭の激痛に顔をしかめた

あぁ…
そう言えば昨日は、何杯呑んだか分からない程やらかしたな

あれ?
でも途中から記憶が無いな…
昨日はエルザに勝負を売られ、買った所までしか覚えてない

その後、どうなった…?

でも自分のベッドで寝ていると言うことは、自力で帰ったか、グレイが連れて帰ってくれたかのどちらかだろう

どっちにしても、後で真相聞いてグレイに迷惑掛けていたらお礼を言っておくか

取り敢えず、今は頭が痛い
瞼が重くて開かない
寝返りを打ち、もう一眠り着こうとした次の瞬間…


「ぎゃああぁぁあぁあ!!」


ツバサの悲鳴は部屋中、所狭しと響き渡った。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]