Show Girl

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「ツバサ、」

「…だれ?」

「幸せになれ」


心地良い風に誘われて、誰かの聞き覚えのある声がした
それは夢の中なのかどうなのかは分からないけど
とても心地の良い声だった

そして同時にゆっくりと瞼を開けて行く
それで気付いたのだ
あれは、私の夢の中で囁かれた声だったんだと

風が頬を掠め気持ちが良くポカポカと日差しが暖かい
もう一度目を閉じれば二度寝出来そうな感じ
回りが凄く静か過ぎて、目が覚めてもボケーッとしていた私は気付く


「ココドコだ!?」


そりゃ気持ちも良い筈だ
何故か木にもたれ掛かり眠っていた
風も良く通り、ポカポカしている訳だよ

で!問題はどうして私はこんな所で寝てるのかって話し
みんな何処行った!?
電車に揺られグレイの肩を貸して貰って寝てたんだぞ?


「ワケわからーん!」


少し丘になっていて、木が一本だけ立っている
目の前を見渡せば街が広がっていた
そんな街に向かって叫んだ。
だけど返事が返って来る筈も無く、虚しく叫んだ言葉はやまびこの如く返って来る

もしかしてまだ夢の中、か…?
そう錯覚してしまう程に辺りには何も無く、やっぱりあるのは一本の木だけ
等々、頭が混乱しだし皆の安否が逆に心配になって来る
みんな強いから、くたばっている様な事にはなって無いと思うけどさ…


「グレーイ!お腹減ったー!」


何だか悲しくなって来て…
でもお腹も減って来て…

返事は無いと分かってはいるけど、咄嗟に出て来たグレイの名前を叫びお腹が減った事を街に向かって主張した





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