Show Girl

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「起きろよー」

「オラ、早く金持ってコイ」

「じゃないと酷い目にあうかもね〜」


カンカンと両手に持った鉄バットを合わせ鳴らし住人を起こす者
金だ金だと叫ぶ者
ニンマリとした笑顔で家に穴を開けていく者

それを筆頭に彼等にとっては宴会場で騒ぐという気分なのか、酒を持ち騒いでいるだけにも見える

だが、迷惑極まりない…

夜中に仮にも普通の人なら就寝時間だというのに
しっかりと建物という建物を壊して行く

最後には優しいだろ俺達〜と笑みを見せ、寝床だけを綺麗に残した


「じーさんお小遣い貰いに来たぜ〜」


街の長の首もとをガッと締める様に持ち上げる
寝起きと日にちが違うことに戸惑い声を出せない長は相手の腕を必死に掴む。
色々と思う事もあるが、締められている為、上手く声を発せられず、もがく事しか出来ない


「あァ?じーさんは声もまともに出なくなっちまったんですか〜?」


苦しそうにうなり声をあげる長の耳元でニタァっと笑みを含んで言う


「しゃべれねぇ奴に用はねぇよ」


一方的に襲い、一方的に話せなくしているこの状況。
吐き捨てる様に言い、首をグッと締めていき…


「とーっう!」

「ぶへっ…」


なんとも間抜けな呻き声を出し、反動で長を締めていた手は解かれる
見事なグーパンチを貰い、吹っ飛び殴られた顔をおさえ慌てる


「なっ、なんだテメェ!?」

「正義の味方さんじょー!」


ニッと笑い、殴り飛ばした相手に向かい何とも言い難いポーズを取った
仁王立ちで笑っているが顔は怒っている
その隣で羽を広げて青い猫が飛ぶ


「じーちゃん大丈夫か?」

「ケホッ……な、なんとか、」

「何だよコイツ!?」


両手にメラメラと炎を纏い、突然飛んで現れた鮮やかな桜色の髪の主に連中はざわつく

少し遅れて到着し、無数の剣を周りに従えた者は言った


「妖精の尻尾だ!」


まさに危機一髪の所で現れた、救世主だった





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