Show Girl

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 …お腹空いた。

グーッと音を鳴らしたのは、恒例の腹時計
朝の八時をお知らせしたお腹にゆっくりと目を開けた

だが、目蓋が重い…
開き切らない目蓋に、覚醒しきっていない脳を回転させ、目蓋が重い理由を考える

そして数秒後、分かった
泣き過ぎた所為で目を腫らしたんだと


「顔洗お…」


昨晩を思い返せば、結構な事をやらかした気もする…気もするが…

やはり、完全に起きていない頭は回らない

取り敢えず起きる為に、重い目蓋を開ける為に。
冷たい冷水で色々冷やそうとツバサは思った


「……動けない…?」


身体を起こし、起き上がって洗面所に行く。
頭のプログラムは完璧だが、身体が動かない

そして気付く
腰に腕が回ってがっちりと固定されている事に
腕を辿っていくと、先に居たのはグレイ


「……はあ!?」


なんで隣で寝てんだグレイ…

ツバサは視界に止まったグレイの姿に一瞬、目を見開き固まってから、盛大な疑問の言葉を投げた

半開きだった目蓋が完全に開いた瞬間だった


「オイ!起きろ!動けねーよ!」

「………ツバサ、」

「ぎゃぁあああ…!?寝ぼけてないで離れろー!」


ツバサの声で一瞬起きたグレイは、そのままツバサを引き寄せた
前にも見た様な光景に、やっぱりツバサはツバサで可愛くもない悲鳴をあげる


「意味分からん!俺は抱き枕かッ!?」


何がどうなって、グレイと一緒に寝てるんだ!?

今気付いけど、頭の下にもグレイの腕が回ってる…ってことは、ちゃっかり腕枕で寝てたってことか?

抱き締められていると言うより、巻き付かれていると言う方がピッタリの今の状況


私は抱き枕じゃないんだぞー!





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