Show Girl
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「ツバサは大丈夫かな?」
モモさんが亡くなってから二日が経ちました
この場所に来たときツバサは久々に会える、ととても嬉しそうに笑っていた
でも、楽しい一時は瞬く間に過ぎて行き、会えたその日にモモさんは逝ってしまった
モモさんの願い、ツバサの気持ち
考えるだけで胸がとても苦しくなった
「ツバサはココに残るのかな?もう妖精の尻尾には帰らないのかな?」
あれから姿を見せないツバサに、それぞれが思っていた事をハッピーは切り出した
それはツバサ自身が決める事であり、この先の事なんて分からない
出来る事なら一緒に帰りたい
だが、今のツバサにそんな言葉を言える者は一人も居なかった
「今日も顔を出さなかったら私達は一旦ギルドに戻ろう」
「ダァー!俺、ツバサんとこ行って来る!」
「ちょっとナツ!?」
こればっかりは仕方がない、そう言うエルザ
待っているばかりじゃ何も始まらないと立ち上がり部屋を出て行こうとするナツをルーシィが慌てて止めた
「止めんなルーシィ!俺はアイツに一言言ってやんだ!」
「一体何を言うつもり!?」
凄い力で押し退けようとするナツを必死で食い止めるルーシィはナツを抱き締めるように止めていた
気持ちは分かるとでも言いたいかのように
「いつまでもイジケてンじゃねーってな!」
皆の思っていることは一緒だ
誰もがツバサを心配している
誰も切り出せない一言をナツは言ってやりたかった
ナツとルーシィから背を向け窓から入る日差しを見つめていたエルザは漸く止めに入ろうと振り向こうとしたその時、今まで静かに閉まっていた扉がヤケに大きな音を響かせてゆっくりと開いた
「………よっ」
ルーシィはその瞬間目を大きく開かせて固まった
今まさに話題の中心に居た人物は、真正面に居たルーシィと目があった瞬間、なんとも間抜けな挨拶をした
少し久しぶりに聞いたツバサの一声にその場に居た連中は拍子抜けした
「ごめんなナツ、心配かけて」
一瞬静まった部屋の中で話し出したツバサは、背を向けてルーシィに取り押さえられているナツに謝った
部屋に入る前からナツの大きな声は聞こえていた
「そーだぞツバサ!」
「ちょ、ちょっと待って!振り向かないでそのまま聞いてくれる?エルザもハッピーも」
これまたルーシィを払い退けて行こうとするナツを止めたツバサは、エルザとハッピーにもお願いを
今、ツバサの姿を捕らえているのはルーシィだけ
震える手でナツの服を握り締めるルーシィにツバサは薄く笑ってしーっとジェスチャーで人差し指を口元に当てた
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