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□お好みの方をどうぞ!
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「みんな揃って何で唸ってんの?」


ツバサはスキップして今にも踊り出しそうな勢いで皆の座るテーブルに手をついた

明日は待ちに待った入学式な訳で待ち遠しすぎて楽しみで仕方がないツバサ
対照的に腕を組み唸るグレイに頬杖をつくルーシィ、頭の後ろに手をやり身体を投げ出すナツ、魚を加え頬を膨らますハッピー、眉間に皺を寄せるエルザ


「え?マジでどうした!?」

「大変なのツバサ」


頬に手を当てながら困った顔で言うミラに首を傾げる
ミラまでも浮かない顔して、本当にどうしたのだろうか?
だが、続きを言わないミラに更に疑問符を浮かべるツバサは、取り敢えず片っ端から話し掛けて行く


「服脱がないグレイなんてグレイじゃないぞ!?」

「ん、あぁ、上だけ脱いどくわ」

「無理に脱がなくてもいいけどな?ルーシィもいつもの元気なルーシィはどうしたの!?」

「…はぁ、ツバサ」

「ルーシィに溜め息吐かれると結構傷付くな…オイ、ナツ!ナツに悩み事は似合わないぞ!静かなんて病気か!?」

「俺はツバサと違って単純じゃねーから、悩みの一つや二つあるっての」

「それじゃ俺が単純バカみてえじゃねーかよ!?何か言ってやってよエルザ!」

「仕方がない。単純バカなのはツバサの良いところだ気にするな」

「否定してくれないの!?てかみんな本当にどーしたの!?」


片っ端から話し掛けた結果、取り敢えず返事は返ってくるものの、あからさまに様子が変だ
聞いても、確信を付かない連中にツバサは更に疑問符を浮かべるばかり

そして一人飛ばした猫が、


「どうしてオイラには何も聞いてくれないの?」

「だってハッピーはいつも通り魚食ってるだけだろ?」


同じテーブルに居るにも拘わらず、話し掛けてもらえなかったハッピーはぶーたれた
この席で一人普段通りな訳だから仕方が無い
オイラも悩んでるんだよ!と、更に頬を膨らますハッピーは取り敢えずスルーしてみる


「なー本当にどーしたの!?明日から楽しい楽しい学校生活が始まるんだぞ?ココは妖精の尻尾らしくドンチャン騒ぎで盛り上がってる時間じゃないの?俺一人で始めちゃうぞ?ドンチャン騒ぎ」


男装少女ツバサの言葉遣いは男だったり女だったり…
性別はもうバレているので妖精の尻尾の連中は特に気にしない
男装していた名残からか、性別がバレてからか口調はどっちも混じっている

そんな一人騒ぐツバサを見て連中はツバサをジーッと見つめ何故か溜め息


「揃って溜め息吐くなー!?」

「こうなったらツバサ本人に決めてもらうしかないわね!」


突然ルーシィは机をバンッと勢い良く叩き立ち上がる
急な出来事に肩を上げて驚くと、皆の視線がツバサへと一斉に集められた


「ズボン履いてあたしとカップルになるか!」

「スカート履いて俺と手ェ繋いで歩くか!」

「………は?」


グレイまで手をバンッと机に勢い良く付き立ち上がる
ルーシィとグレイが真顔で何を言い出すかと思えば、ズボン?スカート?カップル?手を繋ぐ?

 …ハイ?


「まだ選択肢はあんぞツバサ!オカマでも友情築けっしな!」

「どっちでもオイラと魚は食べられるよ」

「私を忘れるなよツバサ!しっかり彼女か彼氏、どちらでも立候補してやる」

「マテマテマテ、」


ナツとハッピーとエルザも同様に机に手を付き立ち上がる
主語があるようでない話に頭はこんがらがる
先程まで皆して唸ってたくせに、お次は皆して立ち上がる

何となく唸っていた理由が見え始めた所で、


「大変でしょ、ツバサ」


ミラが先程言っていたセリフを次は確信に迫った様に呟いた

目を丸くして頭の中で整理をしていると、


「そう言う訳じゃ。決定権はツバサにある、最後は自分で決めんかぁー!」


そう言って突如現れた、妖精の尻尾の親でもあるマスターマカロフは巨大化した身体で片方づつ手に持った服を掲げた


「やっぱりスカートなんじゃないの?」

「男ならズボンを履けー!」


周りを見渡すと気付かなかったが、どうやら妖精の尻尾全体で唸っている様子

カナがせっかく女の子なんだからね、とツバサの肩に手を置く
反対側でエルフマンが拳を突き上げ吠える

この光景は前にも見た気もするが…
ってまさか、ギルドを悩ませている議題が男でズボンか女でスカートのどちらの制服を着るかだなんて

悪いけど、ツバサの答えは当たり前に決まっている


「俺は女だー!!」


ツバサは皆に聞こえるように声を張り上げた
勿論、入学式に男と偽って入学する訳がない
しっかりと女の子でスカートで行くに決まっている

ツバサの叫びに連中は目をぱちくりとさせてからまた、溜め息を一斉に零した


「俺なクセして女かよ?」

「あぁッ…!つい癖で…」


溜め息の正体をグレイが代表してツバサに言う

やっぱり男装していた名残が残っている為、否定したいのかしたくないのか…どちらなんだ?


「分かった!日替わりにすればいいのよ!」


手を叩いて言うミラの提案に、


「じゃ、月曜日はズボンであたしとデートね」

「しゃァね、火曜日はオカマと遊びに行くか」

「水曜日はスカートで登下校は手ェ繋いでやる」

「木曜日はオイラと魚パーティーね!」

「金曜日は私だな、臨機応変に男でも女でも応えてやるぞ」


何ですか、その日替わりメニューは…
って私に決定権があるとか言いながらも完璧ありませんよねコレ?

ツバサを置いて進められていく話に口出す余裕も無かった
因みに休みの日は、午前が男で午後からは女と言う事で決まった


「そう言う訳だ、ツバサにはどちらの制服も贈呈しよう」

「異議ありまくりー!?」


連中でツバサの今後を決めた所でマスターは締めくくる様にツバサへ制服を渡した

ツバサが了解する筈もなく喚く

明日は待ちに待った入学式。
さて、結局の所ツバサはどちらの制服で登校するのだろうか?



お好みの方をどうぞ!
(心配すんな、夜はしっかり俺が女の子にしてやっから)
(何その軽く下ネタ…)
(どっち着ても可愛いツバサちゃんってコトだ)
(グレイ…!)
(ちょっと、最後の最後に美味しいとこ持っていかないでよー!?)

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