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□1回につき400円
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「おぉー!俺いますっげー女の子っぽいよ、グレイ!」


瞳を輝かせながら、言うツバサに苦笑いをする
なんたって出て来る言葉が女の子っぽくないのだから…


「何コレどーやんの?初めてでさっぱり分からないぞ」

「それを俺に聞くか?まあとりあえず金入れたらなんとかなんだろ」


初めてやる代物に狭い機内をキョロキョロとするツバサは、小さな子供のようだ


「私すっごい実感したよ」

「なにが?」

「どれだけ自分が男らしく育って来たかってな」


妖精の尻尾に入る前は、男だらけの下で育ってきた
そして妖精の尻尾に入ってからは、男装で生活してきた
なので勿論の事、女らしくなる環境では無いに等しい

それがこんな機械一つで、はしゃげる自分…


「うん!やっぱり俺って女の子だわ」

「ツバサの理屈さっぱりだっつーの」


現在のツバサ。
女の子らしくなる自分磨きに専念中…らしい

その第一歩に女の子なら誰もがやるだろう、プリント倶楽部、略してプリクラに挑戦中。


「…なあ」

「ん?なあに?」


ちょっとばかし可愛く言うツバサを流し目で見たグレイは、


「この微妙な距離はなんだよ?」


と、半笑いで疑問を口にした

ツバサとグレイの間にはすごく微妙な距離が存在した
グレイは、真ん中の位置に居るもののツバサは、機械からはみ出してしまいそうな位置に居る


「いやあ〜いざ撮るかって思うと照れくさくなっちゃって」


ツバサはこういう時が一番妙に女の子らしくなる時だ、とグレイは思った

普段は照れもせず唐突に抱き付いて来るヤツだが、隣に並んで一緒に写真を撮るのは恥ずかしくなるらしい


「んな端っこじゃ写らねえだろ、ツバサちゃんよォ」

「大丈夫だ!ホラ、さんにーいちー。俺ちゃんとピースしたもん」


いつの間にか始まった撮影の一枚目は、グレイが困った顔でツバサを視線を送り、少し離れた隣でちょこんと写るピースのツバサ


「分かった、俺がオンナノコにしてやる」

「おっ…?ちょっ、」


ハア〜っと息を吐き出したグレイは、端っこのツバサの腕をグイッと掴み自分の方へ引き寄せた

その直後にパシャリとシャッターを切られ、グレイの胸に飛び込む様な一枚が出来上がる


「なっ、なにすんだよ!?」

「どこに離れて撮るカップルが居るんだっつの」

「…!か、か、かっぷるじゃないし」


自然に言われた‘カップル’と言う単語に顔を真っ赤にするツバサ

やっぱりツバサの恥ずかしがるポイントはズレている。

まあそんなヤツだが、ツバサを乗せるのは簡単な方法が一つある


「女の子らしくなるんじゃねえの?機械の一つ、プリクラもまともに撮れねえようじゃ、まだまだだな」

「なんだと…!?」


ツバサはなんてったって負けず嫌い
適当に理由を付けて乗せればチョロイもんだ

ツバサを引き寄せたまま、ニヤリと笑うグレイは更に煽りをかけ調子に乗ってみる


「せっかくだから、ココにチューとかしてくれてもいいんだぜ?」


と、ニヤニヤしながら自分のほっぺたを人差し指で差しながら言ってみる


「グレイ!」


するとツバサがジッと正面から見つめて、


「俺を誰だと思ってんだ!プリクラを極めてやる!チューの一つや二つなんだってしてやる!」


単純な負けず嫌い女ツバサは、すっかり乗せられた


「ホラよ、お願いします」


ニヤリと笑ったグレイは少し屈んで、ツバサの横に顔を傾けた

次のシャッターを切る音声がカウントを始め、


「調子にのんなッ、バーカ!」


カシャッ!と切られたシャッターと同時にツバサはグレイの頬を思いっきり抓った


「いってェ!?」

「あ〜プリクラって楽しいな!次はなにするグレ〜イ?」


してやったりのツバサは、満足げに笑った
地味に痛い頬を擦るグレイは、ツバサを担ぎだした

残る枚数。
二人のバカップルのプリクラはまだ始まったばかりだ


1回につき400円
(なんで担がれてんのー!?)
(お姫様だっこだろ)
(なんか違う!グレイの顔が異様に怖い…近付いてくんな!?)
(シャッターチャンスってな)

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