Present

□Sweet love…
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「ナナシチャンは何でかリオンには懐かなかったんだよ」

「リオン?」

「俺にはすっげぇ懐いてくれてな。それからナナシチャン、俺のことずっとお兄ちゃんって」





グレイことあたしのお兄ちゃんにキスをしたあの日。


あたしとお兄ちゃんは兄妹の関係を破った


後から聞いた話しだけどお兄ちゃんはあの夜本当は起きていたみたい

よく考えたら起きてるお兄ちゃんにキス…
恥ずかしすぎる





本当はお兄ちゃんとは血が繋がっていなかったみたい



デリオラに住んでいた街を崩壊されてそこの生き残りだったらしい


瓦礫の中からウルが見つけてくれてそれからずっと育ててくれたそうだ





「あたし全然覚えてないの」

「それもそうだ。ナナシチャンはまだ小さかったからな」




たった一歳しか年齢が変わらないのに幼い子供の一歳の差は大きいようだ


あたしにもお父さんとお母さんが居たんだ





「あっ」

「どした?」

「思い出した!リオンがどうして苦手か」




リオンはあたしの寝ている時にトカゲを布団の中に入れたんだ

それ以来トカゲは大の付くほど嫌いだ


トカゲだけでなく虫自体がダメになった




「そう言えばナナシチャンは俺の部屋に泣き付いてきたことあったな。トカがーって言って」

「だって怖かったもん」

「トカってトカゲって意味か、あの時は全然解らなかったな」




お兄ちゃんは爆笑していた

だからかあたしはリオンのことをお兄ちゃんと言ったことがない



段々思い出してきた。

少し思い出せば、どう繋げてもグレイがお兄ちゃんに繋がることはなかったのに



幼かった自分を少々恨む






「お兄ちゃん、他人のあたしを育ててくれてありがとう」

「何言ってんだ。ナナシチャンは俺の可愛い妹だ」

「妹…」




微笑むお兄ちゃん

気持ちは伝えてもやっぱりあたしはお兄ちゃんの妹なんだね

さりげない言葉に少しショックだったんだけど…




「あ、違ったな」

「え?」












「俺の可愛い彼女だな」



そう言ってお兄ちゃんはあたしの腕を掴み胸元へ引き寄せた


頬が熱くなっていくのが解る。


お兄ちゃんの言葉一つで上がったり、下がったり




‘俺の可愛い彼女だな’



すごく、くすぐったい。

でもすごく嬉しい。







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