Present

□Rain
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「…寝るか」


ひょんなことから家の前でナナシチャン拾った今日
仕事帰りで疲れていたこともありナナシチャンを泊めてやると言ってしまった
そうやって泊めてやることに対して自分に言い訳をつけてこの場をやり過ごす。


「おやすみなさい」

「あぁ、おやすみ…」


 ………?

いや、待て…何かがおかしい。
ベッドに入り眠りにつくことは何もおかしなことではない
左腕に重みを感じるのは何故…おかしいのは、自然に言い放った隣の人物…


「何でここで寝てんだよ!?」

「だって一人で寝るの寂しいじゃない」


寝室にベッドの隣に布団を敷いてやったのにも拘わらず、俺の布団に潜り込んで来たナナシチャン


「ねえ!アナタの名前はなに?」

「はあ?」

「そう言えば聞いてなかったから」

「…グレイ」


身体を乗り出してビックリするぐらいの笑顔を向けるナナシチャンに改めて名を名乗ることに対して逆に気恥ずかしい
そんなナナシチャンは嬉しそうにグレイね!と言い途端にグレイグレイと連呼しだす

コイツは見ず知らずの今俺の名前を知った男の家によく転がり込めたもんだ
何でも、俺の家の前に居たのは

‘ここの家の人なら泊めてくれそう’

とか言い出しやがった
危ないヤツだったらどうしてたんだよ…


「お前、警戒心とかねえの?」

「どうして?グレイはいい人だよ」


こう言うヤツのことを無知と言うのだろうか…
そんな若干の上目使いで見られたら、‘いい人’を演じきらなきゃいけない気分

ただその上目使いにちっともドキッとかいう少女漫画的な気持ちにならないのは、相手が子供だからだろうか?


「ナナシチャン何歳だ?」


でも念の為確認…


「ん?18だけど」

「……まじ?」

「うん、見えない?」

「全然…」


最悪だ…
まさかの同い年というオチが待っていたなんて思ってもみなかった


「離れろ!布団敷いてやったんだから向こうで寝ろ」

「やだー!寂しいから嫌って言ったでしょー」


そう言って布団を頭まですっぽりとかぶりだした

ナナシチャンを少しづつ知って行くことで、段々自分が悪いことをしているように感じて来る
まさかのタメにヤバイ気がして来たのだが、当の本人は退く気はないらしい


「襲われても知らねーから」

「グレイは優しいから大丈夫だよ」


俺の何を知ってるってんだ…

一向に動く気配のないナナシチャンにそう言えば、布団から目だけを出し返される
こうでも言えば、どっか行くだろうと思ったが駄目だった

仕事の疲れもあり、やり取りをするのも疲れて来て最終的にほって置くことにした
と言うか眠たいんだよ…

隣に居るナナシチャンを少々気になるが、睡魔が勝ってしまいいつの間にか意識を手放していた





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