Extra Joyful

□目的はイタズラ!
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一方通行はソファーに座り雑誌を読んでいた
特に気になる記事がある訳でも無いが、大してやる事もないので適当に目を通す

そう言えば、いつも煩いぐらいのガキ二人が今日はヤケに静かだなと、ふと思った直後に背後に気配を感じた

このタイミングで現れんのかよ…と、ソファー越しに両隣からの気配にため息をついた


「…なンですかァ?」


暫く無視を決め込んだ。
だが、背後の二人はじっとソファーに手をつきじっと黙っていて、如何にも話し掛けて下さいオーラな視線を嫌と言うほど感じたので面倒臭そうに彼は言った

待ってました!と言わんばかりに二人は口々に話し出す


「こんな近くに居るのに無視するから、まさかのバッテリーの無駄遣いで音遮断してるのかと思ったよ」

「つぶらな瞳に照れたんだよね!ってミサカはミサカはアナタの気持ちを代弁してみる」


居ないなら居ないで気になるが、居たら居たらでウザイ。
一斉に喋り出したトモと打ち止めの言葉を片耳づつで何とか聞き取り、また一つため息を零した


「ため息ばっかついてたら、」

「幸せ逃げるよ?ってミサカはミサカは心配してあげたり」

「ハイハイ、お気遣いどォも………!?」


右からトモが。
左から打ち止めが。
にょきっと身体を乗り出し顔を一方通行へ向ける二人に、声にならない表情を作った一方通行


「貴重な顔頂きましたー!」

「これをマヌケヅラって言うんだねってミサカはミサカは納得!」

「黙れかぼちゃァ!」


そりゃ誰だって驚くだろう
両脇からかぼちゃが顔を出せば

中身はトモと打ち止めだと分かってはいるが、行き成り現れた二人がかぼちゃで顔を覆い隠していたら誰だって驚くだろう
平静を装っているフリをしながらも、内心バクバクと煩い心臓。

トモと打ち止めは、そんな一方通行の心情を見透かした様に声を上げ笑った


「良いモン貰ったねミサカ」

「写真取ればよかったね!ってミサカはミサカはアナタにもう一度、口ポカンの顔をして欲しいってお願いしてみる」

「うっせェ!ケツかぼとクソかぼが」

「ケツかぼ!?一方通行にしては良いネーミングセンスじゃん」

「クソかぼ〜!ってミサカはミサカはハロウィン仕様の名前に満足!」

「…ありがとよォ」


着いていけない…
一方通行は、嫌みも喜ぶ二人に何を言えばいいのか分からなくなり、何でか褒められた嫌みの言葉にお礼を言っておくことで話を終わらせた

そして気付いた。
打ち止めのハロウィンと言った言葉で今日がその日だと言うことを
だから、かぼちゃ被ってんのかと


「あぁ!アクセラの間抜け面で満足して目的忘れるとこだったよ」

「早く言おう!ってミサカはミサカは忘れかけたあのセリフを思い出してみる」

「あァ?間抜けで悪かったな、なンだよセリフって」

「スネた?今日は可愛いねレータ!ってことでミサカ、せーのっ、」

「今から言うの!ってミサカはミサカはトモとせーのっ、」


忙しく喋るトモと打ち止めの間に挟まれた一方通行は、疑問符を浮かべ顔をしかめた

せーのだなんて…
なんだと聞いておきながら、この流れで口を揃えて言おうとしてる時点で想像がついた


「トリックオアトリート!」

「トリックオアトリート!ってミサカはミサカはアナタにお菓子を要求してみたり」


予想は外れる事無く的中。
ハモった二人の声に頭に手をつき、今日一番のため息を吐いた
対照的に両隣のかぼちゃは、両手を一方通行に突き出してお菓子を待つ


「お菓子なンざ、出て来る訳がねェ」


一方通行が用意している筈も無く、そう返された。
それを聞き、かぼちゃの被り物を取りプクーッと頬を膨らませた二人がかぼちゃから出て来た


「ンな顔されても、ねェモンはねェ」


明らかにスネる二人に少しギクッとしたが、無い物は無い。
止めを刺した瞬間だった

タラタラと文句を言われるかと思えば、トモと打ち止めの膨らんでいた頬はいつの間にか萎んでいて、満面の笑みを向けられていた


「だよね〜!アクセラがお菓子用意してたらどうしようかと思ったよ」

「これで心置きなくイタズラが出来るね!ってミサカはミサカは先手必勝!」

「お菓子をくれない一方通行には、もれなく私とミサカのイタズラがもらえまーす!」


そう、さっきのはフェイント。
本題は一方通行にイタズラをすることなのだから
別の意味で笑顔になる訳だった


「オイ、何考えてや…………ッ!?」


言い終える前に両肩を縮こまらせ全身に寒気が走った瞬間だった

両隣から、トモは右に打ち止めは左に。
一方通行の耳に片方筒、息をフーッと吹きかけた


「なにやってンだ、クソ共がァァアアア!?」

「今のは間抜け面よりレアだよ!」

「いつも白い顔が真っ赤!ってミサカはミサカは貴重な顔をジッと見つめてみたり」


ソファーから勢いよく立ち上がり、両耳を手で隠す
コロコロと予想以上の反応をしてくれる、見たことも無い一方通行の姿にトモと打ち止めは興奮し爆笑

今日一番でテンションがある意味上がった一方通行は、声を張り上げ言った


「ハロウィンは偉大ってことね!アクセラも楽しん……っていて!?」

「アナタの為にある日だね!ってミサカはミサ……いたぁい!?」

「誰のせェだと思ってンだァ!?」


好き放題言われる一方通行は、二人を止める為にチョップをかます
喋るのを中断して痛い頭を押さえた二人。
涙目になりながら一方通行を見上げた

いつもならここで終わるが、今日の二人は一味違った


「今日はハロウィン!お菓子をくれなかったアクセラはイタズラされる運命!」

「チョップのお返し!ってミサカはミサカはめげずに次に行ってみる」

「寄ンな!オイ、飛び乗るヤツがどこに居ンだ……いてェ!」


ソファーから一方通行の正面に回った二人は、ニンマリと笑顔を貼り付けじりじりとにじり寄り飛びかかった

普段なら恐ろしくて出来ない行為も今日は‘イタズラ’と言う目的があるので躊躇なく出来た。

ソファーがクッションになって痛さは半減したが、二人一緒に来られては痛いに決まっている

一方通行の上に乗っかる様に抱き付いたトモと打ち止めは、一方通行の首に巻き付いて押し倒した
それを何だかんだ言いながらもしっかり両手で受け止めた彼だった


目的はイタズラ!
(来年もイタズラ!ってミサカはミサカは間違ったハロウィンが楽しみ!)
(そうだね〜来年も抱き付いてほしい?)
(来年は用意してやらァ!)


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