Extra Joyful

□これでも暗部。
1ページ/1ページ


「バカがいンぞ」


公共の広場。
土御門を除くグループ三人は、トモの姿にギョッと目を見開いた


「変わったファッションですね」

「変態にでも目覚めたのかしら」


言われたい放題。
先ほど風呂へ直行したトモな訳だが、別にそれ自体は何もおかしくはない

ガチャリとドアノブの捻る音がしたので上がったんだなと反射的に三人が扉から出て来るトモに目をやれば、出て来たのはバスタオルで身を包んだだけのトモの姿


「オマエの変態っぷりは知ってンけどよ」

「コレのどこが変態サンだって言うのさ?」

「見たまンまだろォが」


何故そんな不信な目を向けられているのか分からないトモは、前でバスタオルを手で掴み落ちないように守りながら首を傾げた
横目でハレンチ姿を眺める一方通行もトモの格好はおかしいが別に気にしない


「トモさん、服はどうしたんです?」

「アクセラが枕にしてる〜」

「あン?」


海原に指摘されてソファーにふんぞり返る一方通行の頭もとを指差して言うトモに頭を上げて見れば畳まれた服が下に引かれていた。


「犯人はアナタじゃない。どっちが変態だか」

「オイ、一緒にすンな」


一方通行がトモの服を枕にし着られない状況を作ったから悪いと結標はハァーとため息を吐いた

それはわざと置いてるから大丈夫〜と言うトモの声が聞こえるが、聞き捨てならない言い掛かりを受けた一方通行は枕にしていた服の束をトモに投げる
バフッと音を立てて顔にバウンドした服を受け取ったトモはそれでも動かない


「貧相な格好晒してンじゃねェぞ、早く服着ろ」

「あと五三分は着れない〜」

「トモさん風邪引きますよ」

「大体、五三分って何の話よ?」

「お風呂上がってから一時間経たないと服着ちゃダメなんだって!」


真顔でそんな事を言うトモに一同揃ってため息。

どこから仕入れた情報だ…
と、思考を巡らす三人
だが聞かなくてもアホな情報を吹き込んだ奴の正体が直ぐに分かった


「一応聞いてあげるわ」

「何でも聞きたまえ!」

「誰から言われたのよ?」

「土御門ーッ!」


右手でグーの拳を作り頭上に高く上げ元気に犯人の名を言ったトモにやっぱりか、と聞かなくても分かった人物の名前に更に溜め息を零した

こんなアホな情報を流し込むのは奴しか居ない
そしてアホな情報を真面目に信じるのもトモしか居ない


「つっちーが『風呂上がり直ぐに服着ると胸がしぼむんだぜい。一時間は着ちゃ駄目にゃ〜』って教えてくれたのさッ!」

「似てねェ」

「しぼむ訳がないでしょ」

「土御門さんが言いそうな事ですね」


妙な甲高土御門を演じたトモ。
呆れを通り越しとんでも無いアホさに哀れむ


「あとは一方通行が喜ぶって」

「喜ぶンは土御門だけだろ」

「あれれ〜?そうなの?」

「フンッ、テメェの真っ裸見てもなンも無ェっつのに」

「アナタそれ男としてどうなのよ」

「トモさんが可哀想です」


何故か標的を変えられた一方通行。
結標と海原の視線がトモから一方通行に変わった瞬間だった
普通の人がいれば、間違い無く問題はそこか?とツッコミを入れるはずだ


「とりあえずトモさんは服を着てください」

「しぼまない?」

「大丈夫よ、土御門が病気なだけ」


そう言って結標は座標移動でトモを脱衣所へ

数分後、着替え終わったトモが現れ一方通行の隣へ腰を下ろした


「オマエもくだンねェ事に付き合ってンじゃねェよ」

「だってアクセラ喜ばせたいじゃん!」

「あァ?オマエはケツ振っときゃイインだよ」

「ケツは振らないけどね〜」


と、何を思ったのか勢い良く押し倒しに掛かったトモ
まさかこのタイミングで来るとは思うはずも無くされるがままに一方通行はソファーに沈み、いてェと零す

少し間違ったスキンシップの取り方にも見える。


「むず痒いわ、あの二人」

「女の子にお尻を振らすとは、やり手ですね」


何かを勘違いする結標と海原。
そんな中、玄関ドアが勢い良く開いた。


「トモにプレゼントだにゃー」


呑気な声を上げて外へ出ていた土御門が帰って来た。
丁寧に包装された箱を抱えて四人が居る部屋へ


「なにくれるのー?」

「ありゃ?計算では今頃バスタオル姿だったんだが…まあいいか、明日からコレを愛用するにゃー」


一方通行の上に乗っかったまま顔だけを上にあげ、土御門を見るトモに予想と反した服を着るトモの姿に少々がっかりとした

そしてジャジャーンと包装された箱を見せた


「うわ〜!ありがと土御門!」

「オイ、中身はなンだ?」


体勢を起こして受け取った箱にキラキラした眼差しを送るトモを横目に、同じく体勢を起こした一方通行が眉を釣り上げる


「バスタオルですたい!ただのバスタオルじゃないんだぜい?幅が短いんだにゃー」

「下心だだ漏れね」

「ミニだぞ?ギリギリだぞ?男のロマンにゃー」

「残念ですが叶わないみたいですね」

「ゴミだな」

「あぁ!土御門の嘘つきー!しぼまないって」


ギリギリのミニが見たいだけで始まった今回の騒動。
だが、トモへの種明かしも終わった所で状況は悪くなる方にしか転ばない土御門

トモの手から箱を奪い一方通行はゴミ箱に向かってプレゼントを投げ捨てた


これでも暗部。
(なにするかにゃー!?)
(くだンねェこたァ吹き込むンじゃねェ)
(バスタオルより布団が欲しー!)
(トモさん、それもどうかと思いますが)
(土御門もゴミと一緒に処分されたら?)



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]