Extra Joyful

□ピローン!
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「ジャジャーン!」

「ジャジャーン!ってミサカはミサカも効果音を一緒に言ってみる」


買い物組が帰宅してから一気に騒がしくなった黄泉川宅。
帰って来るなり足を揃えてバタバタと走り寄ってきたトモと打ち止め

そして何の前触れも無くトモがズイッと音と共に本日ゲットした代物を一方通行に見せびらかした
その横ではトモと一緒に声だけ加勢する打ち止め


「遂に私も持つときがやってきたのさッ!」

「トモおめでとうってミサカはミサカは一緒に喜んでみる」

「ありがとー」


キャッキャとはしゃぐ二人に冷ややかな視線を送り無視して読んでいた雑誌に再び目を通す


「やっと買ったンかよ」

「トモの携帯の番号知りたいなァって一方通行は一方通行は思ってみたり」


雑誌を読む一方通行の耳に届いた何とも反応してくださいと満載のトモと打ち止めの発言。
トモはしっかり‘ん’を‘ン’に変えて
打ち止めに関しては何時ものミサカはミサカはが、長ったらしい事になっている


「誰のマネしてンだ」

「アクセラ以外に誰がいるのさ?」

「アナタが何も言わないから変わりに言ってあげたんだよ!ってミサカはミサカは優しさをアピールしてみたり」


ニッコリ笑顔を貼り付けるトモと打ち止め
そんな二人に分かり切っていることを聞いた自分に溜め息を零す
と言うか打ち止めのはマネになっていない…

無いと不便だと言うことでトモは今日、携帯電話を黄泉川に買ってもらった

初めて手にする携帯にテンションは最高潮
帰って来たら直ぐに彼に自慢しようと言うことで今に至る
だが、反応してもらえず黙る一方通行のマネを勝手に代弁して作り上げた二人


「オメデトウ。満足ですかァ?」

「カメラがついてるよミサカ!」

「撮ろう撮ろう!ってミサカはミサカは髪の毛セットしてみる」

「…オイ」


煩いのを静める為に言ってやったのに、まさかのスルー
今時珍しくも何とも携帯のカメラ機能。
二人の興味はそっちに行ってしまい最早一方通行を完全無視


「いくよミサカ〜」

「はーい!ってミサカはミサカはばっちりピース!」


手を伸ばし携帯を自分達に向けてピローンと愉快な音とトモにシャッターを切る
一方通行の方にメイン画面が向いているので二人の姿が画面に写っているのだが…


「口裂け女かよ」

「あー!切れてるー」

「髪の毛セットが台無し!ってミサカはミサカはもう一度セットし直してみる」


ニッコリ笑った口元しか写っていなかった画面。
撮る前に言ってくれれば良いモノを撮り終わってから言う一方通行は無視された密かな嫌がらせだったり…

それから何度か撮り直すも顔が切れていたり目しか写ってなかったりと、中々上手く撮れない。
その度にトモと打ち止めは嘆き、一方通行は事後報告


「写真撮るのがこんなに疲れるとは…」

「ニッコリし過ぎて顔がピクピクして来たのってミサカはミサカは疲れた事をお伝えしてみる」


たかが写真。
それに遊ばれげっそりとする二人


「ってことで、ハイ」

「あン?」

「最終手段!」


携帯電話を一方通行に渡す
要するに撮れと言うことだ。


「可愛く撮ってねー」

「最後の笑顔を振り絞ってみるってミサカはミサカはにーっ!」


大人しく撮影に入った一方通行は携帯を構えるのだが、ポーズでウダウダとする二人にイライラしてきた彼はたまらずシャッターを切った

ピローンと愉快な音に気付いたトモと打ち止めはハッとする。


「カワイーカワイー」

「コラ!もやしッ!」

「ハイチーズ無しなの!?ってミサカはミサカは行き場のない手をバタバタしてみる」


撮った写真を片言で褒める。
それにプリプリ怒る二人は取り敢えず一方通行の横に行き画面を覗き込む
また煩く騒ぎ出すかと思いきや、


「自然な感じで意外とオッケー?」

「綺麗に撮れてるねってミサカはミサカは満足してみる」

「…ブサイク。」


なんだこの予想外な展開は…

いつも通りのグダグダ三人な訳だが、そんな所で遅れて帰って来た黄泉川と芳川が帰宅
トモと打ち止めは玄関にお出迎えに行く
そして一方通行の前にまで連れてこられる


「ハイ撮って〜!」

「なんじゃんよ?」

「トモの携帯で写真撮るんだよってミサカはミサカはお伝えしてみる」

「早速盛り上がってるって訳ね」


一緒に買い物に行ったが、早く一方通行に見せびらかしたいと言うことで先に帰ったトモと打ち止め
帰って来た黄泉川と芳川とも一緒に撮るために早速リビングへと連れて行き撮影会の始まり

後ろに黄泉川と芳川
前にトモと打ち止め
二列になってちゃんと写るように自然と中心へと集まる

勿論、撮影者は携帯を持つ一方通行。


「次はチーズ言ってよー」

「綺麗に撮るじゃんよ」

「写真なんていつぶりかしら」

「うわーい!ヨミカワもヨシカワもってミサカはミサカは今日何度目かのピースをしてみる」

「…ちィずゥ」


人数が二人増えた事により更に騒がしくなる
これは上手いこと撮らなければ後が煩いと思い、気の抜けた掛け声と一緒にピローンとシャッターを切った

打ち止めが携帯を撮りに行きみんなで画面に食いつく
しっかりと画面に収まり綺麗に撮れた写真に大満足のご様子

それをチッと舌打ちをし中断していた雑誌に目を通そうとすれば、


「お願いしまーす!」

「…あァ?」

「アナタもカメラ目線ってミサカはミサカは肩を叩いてみる」


いつの間にか両隣に座るトモと打ち止め
携帯を此方に構える黄泉川


「もっと近付いて、入らないじゃんよ」

「コレでいーい?」

「うぜェ」

「アナタもニッコリ笑顔でねってミサカはミサカは丁寧に教えてあげてみたり」


ギュッとほっぺたを押し潰す程に密着するトモと打ち止め
近付き過ぎだろとツッコミたい所だが、言う暇も無くピローンと鳴る携帯。

その前に勝手に撮ったとか色々言いたいのだが、


「レータと写真!やったー」

「ミサカも欲しい!ってミサカはミサカはお願いしてみたり」

「後で送ってあげるよ!みんなに自慢しよーっと」

「…チッ」


たかが写真一枚で喜ばれては逆に何も言えなくなる

画面には、満面の笑みのトモと打ち止めが
くっつぎすぎた結果若干頬の押し潰された仏頂面の一方通行を挟んで三人並んで写っていた。


「次はみんなで撮ろー!」


ピローン!
(何回撮っても同じ顔!?)
(勝手に撮ってンじゃねェ)
(協調性が足りないじゃん)
(せめてピースぐらいすればいいんだよってミサカはミサカはアドバイスしてみる)
(大人しく撮られてるだけでも進歩じゃないの)



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