Extra Joyful

□続!!寒さ凌ぎ隊!
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「オイ、どォにかなンねェのかよ」

「どーにもならなーい!」


現代的な杖をつき歩く一方通行は、等々鬱陶しくなり言った
それにトモは更に身を縮めて返した

任務中のグループは、珍しく揃って行動を共にしていた
寒がりトモは口癖になりつつある、さむいーを連発

呪文の様にさむいを連呼するトモの言葉を耳に届かせるも右から左へと流す


「来るとこ間違ってンだろ」

「だだだって目の前に居るから」


歯をガチガチと鳴らし寒さに耐える。
そんなトモは少しでも風避けと温もりを貰うために一方通行の背中に顔を埋め、腰にガチリと手を回し歩く

ただでさえ杖での歩行も歩きにくいのに、その上後ろからトモにしがみつかれていては更に歩きにくい


「もやしサン、ケチだからあわきのとこ行くー」

「なンだってェ?」

「ちょっとトモ、歩きにくいわ」


ぶーたれたトモは、一方通行から離れ隣を歩く結標の腰に移動。

本日の気温は八度
冬なので至って普通の寒さと言えるだろう
冬だから服装も冬仕様になっていい筈だ
だが、


「あわきお腹氷!お腹氷!」

「二度言わなくてもいいわよ」

「こんな腹だしじゃ風邪引くよねーさん!?お腹が氷だってば」

「私はトモの手が冷たいんだけど」


胸にサラシを当て、上から学ランを羽織ったミニスカスタイルの結標
見てるだけで寒そうな格好の彼女に抱き付いてもちっとも寒さを凌げそうにもない

こんな寒いのだからせめて、前のボタンを閉めても良さそうなのだが…


「あわき寒いからみっちゃんのとこに移動します」

「なんですか?そのあだ名」


更にその横を歩く海原の腰へと移動。
海原光貴なので呼べなくは無いあだ名だが、海原はポフッと音を立ててしがみつくトモを気にせず前進


「ぬくぬく〜!これだよコレ!私が追い求めてたの」

「それだけ着込んでまだ寒いのですか?」

「追い風は寒いから盾が欲しいでしょー」


薄着の一方通行に腹だし結標
それに対して、海原は一般的な冬仕様の格好
抱き付く側としても暖かい気持ちになる

更にその上を行くトモの格好はロンTを二枚中に着、パーカーにダウン。
何とも動きにくそうな程に着込みマフラーもしっかり着用中

どれだけ寒いのだ…
と、グループの連中皆が思った


「にゃ〜、前方に常盤台中学のお嬢様発見だにゃー」

「…!?トモさん離れてください」

「盾待って〜」


今まで黙りだった土御門は、前方を見据えて言った。
その言葉に即座に反応した海原はトモを押しのける
のけられたトモは名残惜しげに手を海原に伸ばし嘆く

まだ、常盤台中学のお嬢様としか言っていない
誰も御坂美琴だとは一言も言っていない
にも拘わらず海原の素早い対応に土御門はしてやったりと口端を釣り上げる


「さーむーいー!!盾がもう居ません」

「トモ一人忘れているんだにゃー」

「…………たて〜いずこ〜」

「おーい!トモちゃーん!?」


両手を広げて正面から迎える体勢の土御門に冷ややかな目を送り見て見ぬ振りをする

予想外の反応に土御門は肩を落とした。


「なんでいつもの救急車は来ないのさ?こんのクソ寒い外を歩かせるなんて凍死させる気ですか!?」

「大袈裟ね」

「仕方がないです、そう言う任務なんですから」

「凍死する任務は嫌って言ってよ」

「ボケは黙ってろ」

「だからウェルカムって言ってんだにゃー」


寒さを凌ぐ盾が居なくなった所で自信の身体を抱き締める様にブルブルと震えるトモ
呆れる結標に冷静な海原
任務内容の変わったトモに間髪入れずにつっこむ一方通行
相変わらず両手を広げる土御門

そんな中、突如ブューンと一際肌を刺す強い風が吹いた
グループ一行はあまりの風のきつさと寒さに足を止めた


「みみみんな集合〜!!」


トモの号令により円になって集まったグループ
流石に今の風は寒かったらしい
大人しく集まる


「ココは寒さ凌ぎ隊を結成することを提案します!」

「その捻りも何も無い隊はなんなの?」

「暖かくなりそうな隊ですね」

「つまり、熱い包容をするってことかにゃー」

「…やンねェぞ」


そんな事を言っていると、また一つ強い風が吹いた
グループ一行は更に小さな円になり集まる

膝を折り曲げで座ったトモに合わせて四人も座り込んだ


「れれれーた…こうもりこうもり!!」

「嫌だ」

「かっ勝手にぉじゃま」


隣に座る一方通行の脇の下に強引に身体を入り込ませる
有無を言わさずテリトリーに侵入して来たトモにチッと舌打ち。
そして結標を手招きして腕を取り組んだ
海原は一方通行と結標の間に身を置き隙間を埋める

寒さ凌ぎ隊の完成だ。


「いやいや、一人忘れて…」

「やっぱりこういう時は人肌だね」

「ナニが人肌だ。オマエ着すぎてうぜェ、要するにジャマ」

「モウ、テレヤサンメッ!」


前にも聞いたこのセリフに一方通行は噛み付いてやろうと本気で思った。


「まぁ、たまにはアリじゃない?」

「幾分かマシになった気はしますね」

「だからこの俺様を忘れてるんだに…」

「グループ改め、今日から寒さ凌ぎ隊に改名〜!」

「却下だろ」


路地裏で何をしているんだと問い掛けたい所だが、任務そっちのけで寒さに身を縮める
土御門は輪にも入れて貰えずみんなから無視を受け一人可哀想な人になっている


「あ、あの人今回のターゲットじゃないの?」


少し先に見えた一人に気付いたトモは聞いた
それぞれもそちらに目をやれば、確かに今回の任務の対象者の一人だった


「行ってらっしゃい、土御門」

「土御門さん、お願いします」

「早くしねェと見失うぞ、土御門」

「つっちー頑張れー!」


今まで無視されていた土御門にみんなの視線が集まる
こうして待っているから早く行け、一人でと言われているが顔も言っている


「グループの土御門さん、頑張って下さい」

「私たちは寒さ凌ぎ隊だから」

「この任務、適任は土御門だなァ」

「土御門の分まで寒さ凌ぎ隊頑張るからね〜」


寒いから動きたくないだけ
全てを土御門に押し付けた四人は身体を更に縮めた

わなわなと口を開け動かない土御門を結標は座標移動でターゲットの基へ飛ばした


続!!寒さ凌ぎ隊!
(こんな寒い日は仲良くならないとね〜)
(そンな事より噛ませろ)
(トモにしては良い案だわ)
(しかし本当に寒いですね)
(お前ら後で覚悟しとけよ!?)



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