Extra Joyful

□エセ関西弁な日
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スキンシップ。
それは人により様々だ

ビリビリ少女は、放電させたり
大食いシスターは、頭をガブリと噛みついたり
聖人と呼ばれる女教皇は、恥を忍んでエロメイド姿に身を包んだり
対抗しておしぼり少女は堕天使メイドになろうとしたり
偽物の仮面を被った少年は、ビリビリ少女の為にどんな手段を使ってでも守ったり
長身未成年喫煙者もまたあらゆる手段を使いシスターを守ったり

最早最後の方はスキンシップでも何でもないが…
取り敢えず、人には色んな接し方がある


「あくせられーたぁー!」

「前が見えねェ」


ココにも一人、誰かれ構わずに突進の勢いで抱きつく少女が一人。
八年の長い年月を誰とも接触出来ない身体、透明人間として生活を送っていた
そうしてトモは、姿がある事、何より接触が出来る喜びからか誰であろうと飛び付く


「ジャマすぎンだろォが」

「今無性にぎゅーの気分なのさッ」


ベンチに座り、ジュースを買いに行ったトモを待っていた
そして、前方から全速力で帰って来たトモにそのまま勢い良く抱きつかれる
もう慣れてしまったので、別に照れもせずに抱きつかれておく一方通行

ただ、位置がジャマすぎる
小さくもなく、かと言って特別大きくもないトモの胸によって視界は真っ暗だ


「自然ラブはどうにかなんないのかにゃー?」

「あ り え へ ん ッ !?」


偶然通りかかった土御門とその友人、青髪ピアスは端から見ればバカップルのじゃれ合いをするトモと一方通行を発見する事に

土御門は、日常茶飯事な二人の光景に普通に横やりを入れる
青髪ピアスは、口をわなわなとしてベストポジションでギューッとされる一方通行を見て震える人差し指を立てる


「つっちー奇遇だね」

「このボケ退けろ土御門」

「それより一方通行、場所を代わって貰える方が土御門さん的には嬉しいんだにゃー」


座る一方通行に走ってきた勢いのまま抱き付くトモは立った状態の身体を少しだけ横にズラす
漸く視界が広がった所で両手を広げてトモを迎える気満々の土御門と未だに人差し指を下ろさずに一方通行に向かって突きつけている青髪ピアスの姿を捉えた


「オイ、この目ナシなンだ?」

「私知ってる!家政婦は見たのポーズだコレ」

「どーやら萌に萌てると見たにゃー」


初対面の一方通行とトモは何だか異様な空気を発する青髪ピアスに見たまんまの感想を
言いたい事は分かると土御門は、わなわなと震える青髪ピアスにうんうんと頷いた

ココから青髪ピアスの弾丸トークが始まる


「美味しいシチュエーションは一体なんや!?その如何にも柔らかそうなおっぱいに埋まってんのに平然としてる白い君はなんなんや!?たまらん身長における嬢ちゃんは155ってとこか?キャピキャピ感が可愛すぎるわッ!アレか、白いのもカミやんに負けず劣らずのフラグ体質の持ち主っちゅーことでええん?にしても美味しすぎるわそのポジション!!」


取り敢えず言いたい事だけを間髪入れずに喋った青髪ピアス
それに目を丸くして聞いていたトモと顰めっ面な一方通行

要はただ羨ましいだけ。


「嬢ちゃんじゃなくてトモだよ、青サン」

「青サン!?呼び方が新鮮や〜もっと呼んで、なんなら御主人様ゆうてくれてもええんやで?」

「ヘイ!御主人様!」

「アカンわあ〜トモちゃんもう猫耳でも付けてウチにこーへん?」


何でもかんでもYESと答えてくれるトモに青髪ピアスは嬉しさのあまり涙を流す
一人興奮する彼に、少し変わった人だなと一人ベラベラとよく分からないキーワードを零しながら青髪は喋り続けた


「小萌先生とまた違ったチビッ子さがあるんやね?ホンマ小動物みたいで可愛すぎるわ!!」

「ねねレータ!この人面白過ぎるんやで」

「ウゼェ」

「その前に土御門!何でこんな可愛いお知り合いがおんのにボクに紹介せーへんとは友達失格や」

「別にそう言うつもりでもないにゃー」


会わせる機会も別になかったしと言う土御門
トモは青髪ピアスの口調が気に入ったらしく一方通行に真似てみせた

未だ興奮の冷めない青髪ピアスは、仏頂面の一方通行に、


「どうやったら自然スキルが生まれるんか教えてください!」

「はァ?」

「自然にボフッと胸に飛び込めるその必殺技をボクにも伝授してくれェエエ!!」


何を訳分からん事を言っているのか。
一方通行は、目の前のエセ関西弁に片眉を吊り上げる


「ハッ!そうか、一方通行も大概なフラグ体質の持ち主って訳ですたい」

「せやろせやろ!?初対面でも分かるで?」

「一方通行の回りには他にもチビ幼女や巨乳ジャージ、ツン姉さんと白衣のニートが居るんだぜい」

「なんなん選り取り見取りなハーレムな環境は!?ロリから何まで一人締めで、最終的にはトモちゃんの熱いハグが貰えんねやろ?」

「土御門もバカならそのツレもバカってかァ?」


もう何処をどうツッコんでいいのか分からない一方通行は、変態金髪と青髪をバカで纏めておいた
トモはと言うと楽しそうに笑っている
ココにもバカでボケが居たなと溜め息を吐いた

此処まで来ればこの集まりにも疑問が浮かぶ


「つかよォ、どォせオマエはまたなンか見て来たンだろ」

「さすがレータ!あの人達のマネをしたのさッ」


面倒臭そうに聞いた一方通行にトモは、ビッとある方向を指さした
指の先を辿って三人は後を追うと、


「いや〜ん照れるじゃないの」

「見せ付けてやりゃいいじゃねえか」


人目も気にせずイチャイチャイチャイチャ…
如何にもバカすぎるカップルが目の前で熱い包容中


「あの人達のマネ〜!」

「頭イカれてンなァ」

「核爆弾でも上から落としてやりたい気分だにゃー」

「ウチに帰ってせえッ!」


バカップルに大きな声でヤジを飛ばす
聞こえたカップルは、羨ましがってるわ、と吐き捨て去って行く。

うぎゃあァアアと負け犬の遠吠えで唸る土御門と青髪ピアス
いつもテンションのおかしい二人だが、今日は何か何時にもましておかしいようだ


「ココは一つトモちゃん、ボクとお友達から始めませんか?」

「ハイ友達!ってことは、ケーキ食べに行かなきゃー」

「ってことは、ボクもハグしてもらえるんやね」


一方通行から離れ、青髪ピアスの前に移動したトモは、新しく友達が出来た喜びに青髪ピアスの手を取りブンブンと上下に振り握手
自然に起きた幸運に嬉しさを噛み締める


「いつもはカミやんに持って行かれる所を頂けた幸せ」

「カミやんが居ないと俺達も普通にフラグが立てられるってことですたい。トモ俺にも握手にゃー」

「ヘイ、握手!」


トモに手を取られブンブンと振り回される青髪ピアスと土御門の姿をベンチから眺める一方通行

バカばっか…
一方通行は盛大な溜め息を零す
たかが握手一つで、しかもトモを相手に鼻の下を延ばすバカな男二人
対するトモもバカでボケで手間の掛かるアホだ

 …自然ねェ


「トモ」

「ん?」

「ン、」


不意に一方通行に呼ばれたので振り返る
彼を知っている人なら誰もが目を飛び出し驚くだろう光景

トモを迎える為に両手を広げる一方通行


「あくせられーたぁー!」

「…チッ」

「何だかよく分からないツンデレサンになってるけど、気にしないでおくね」


土御門と青髪ピアスの手を即座に離し、勿論拒む理由も無く、伸ばされた腕の中に飛び込むトモ

行動と言葉がまさに合致していないツンデレな一方通行


「あくせられーたぁー!」

「うっせェ単細胞」

「一瞬で美味しいトコ持って行ったな!?レーやん」

「誰がレーやンだ、クソが」

「デレたにゃー!てか、妬いたにゃー!」

「スリ潰すぞ、クソッタレ」


首もとでゴロゴロと懐くトモを無視しながらも、しっかりと腰に手を回す微笑ましい一方通行
何せ、呼んだのは紛れもなく彼なのだから

普段なら拝めないだろう一方通行の行動に土御門はニヤケた顔を抑えきれない
こうなれば、冷やかしに回る

羨ましいと全身で表現する青髪ピアスに一方通行は、目線を上に向けて思い出したように、


「そーそォ目ナシ、自然って奴ァこう言う事だ」


何処か勝ち誇った様にも見える不適に素敵な笑みを青髪ピアスに送った

コレが一方通行のスキンシップ…?


エセ関西弁な日
(今日のアクセラは面白いんやで〜)
(海原と結標にも見せてやりたいんやで〜)
(あかん!レーやんかなりの強者やわ)
(オマエ等ウザすぎンだろ)



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