Extra Joyful

□バスに揺られておやすみ
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暖かな日差しがカーテンの隙間から覗き窓を開ければ、心地良い風が顔を掠める

本日は絶好のお出かけ日よりだ
トモと打ち止めは、顔を見合わせて計画の実行に移す


「遊園地に行きたい人は手をあげてくださーい!」

「はーい!ってミサカはミサカは腕が千切れそうな勢いであげてみる」


トモの提案に隣の打ち止めは、挙げた手を左右に振り回す
だが、盛り上がっているのはこの二人だけで後は各々で自由な時間を過ごしている

再度顔を見合わせた二人は、


「もう一回言うからちゃんと聞いてよ?」

「ソファの狸寝入りさんとテーブルの頬杖さんは特によく聞いてねってミサカはミサカは釘を刺してみたり」

「遊園地に行きたい人は手をあげてくださーい!」


それでもスルーされる二人
トモと打ち止めの元気な声と挙げた手だけが部屋に虚しく響く

だが、引くわけにはいかない
こんな絶好のお出かけ日和を家で過ごすなんて勿体無い
こうなれば、一人づつ交渉しに行くしかない


「番ちゃん遊園地だよ?メリーにカップにジェットにお化けで遊び放題だ!」

「ミサカはねジェットがいいなあッ!ってミサカはミサカは可愛らしくおねだりしてみる」

「つーかトモの説明省略しすぎじゃね?それに打ち止めに可愛らしくされても悪いけど私の心はこれっぽっちも動かないって、んでアンタ等重たい」


ターゲットを番外個体に絞った二人は、番外個体の肩に顔を乗せて腕を放り出しデローンとぶら下がる
流石にスルーも出来そうにない状況に面倒臭そうに番外個体は頬杖をつく腕をテーブルから離した

こんな事で番外個体が了解しなさそうなのは想定内だ
なので二人は、


「アクセラの貴重な間抜け面が見られる絶好のチャンスさッ!」

「危険な香りのする遊園地だよってミサカはミサカは番外個体を煽ってみる」


一方通行の嫌がる事が好物な番外個体
悪知恵を入れるコソコソと彼に聞こえないように番外個体に耳打ちする二人だが、


「あの人がジェットコースターできゃあ〜ってはしゃいでいる姿が見られるんだったら面白いけどさ?まー普通に考えてありえないと思うんだけど」


あの第一位がジェットコースターで手を上にあげてきゃあ〜とはしゃぐ姿が想像出来るだろうか?
残念だが、全く想像出来ない


「でも逆にアンタ等を使えば…ニヒヒ、白いのも取り乱すってね☆」


意地の悪い笑みを見せる番外個体
想像しただけで楽しくなってくる
そうと決まれば、


「番ちゃん行こーよー!」

「ヒマだから付き合ってあげるかって、ミサカもたまには優しさ発揮してあげんよぉ?」

「さすが番外個体!ってミサカはミサカは嬉しさにクルクルと回って喜びを表現してみたり」


と言うことで、テーブルの頬杖さん確保。
あとはソファの狸寝入りさんをどうにかすれば晴れて遊園地へと行けるのだが


「行かねェぞ」

「まだ何も言ってないのに!」


次なるターゲットへ移動し、トモはソファで寝そべる一方通行を覗き見る
本日お決まりの台詞を言う前に一方通行は、片目を開けて先に答えを言った

ブーッと頬を膨らますトモに、


「さっきからピーピー鳴いてンだろォが。手ェ挙げた奴が行くンだろ?俺ァ挙げ、」


人混みなんて、ましてや遊園地など行く訳が無い
何よりダルい、面倒臭い、手なんて絶対に挙げない

そう思っているのだが、言葉とは裏腹に一方通行の両手は上に挙がる


「両手あげる程実は行きたかったんだね!さー今日はみんなで楽しい楽しい遊園地だー!」

「行きたいなら行きたいって最初から言えばいいのにってミサカはミサカはうわぁーい!遊園地って更にクルクルと回ってみる」


一方通行も手を挙げた所でコレで遊園地行きは決定だ
打ち止めがクルクルと回る中、トモも隣でクルクルと回る

忌々しい光景に一方通行は舌打ちをし、頭上を睨み付けた


「勝手に人の腕挙げてンじやねェぞ」

「親御さんが行かなかったら誰がガキの面倒見るワケ?所詮心配なんだからアナタはどっちみち行くんでしょ」


番外個体が強制的に一方通行の両腕を掴み挙げ出来上がった、とっても行きたい一方通行の図


「冗談じゃねェ、暑苦しいゴミの群がったトコなンざ、つゥかさっさと離せクソが」

「まーまー、ミサカは逆にアナタが居ないと楽しくないしってニヒヒ、白馬に乗るアナタ想像しただけで鳥肌立っちゃうゾ☆」


番外個体は、一方通行をメリーゴーランドに乗せる気満々だ
もう何を言っても遅い三人に彼は盛大な溜め息を吐く


「そうと決まれば早速レッツゴー!」

「はァ!?オイボケ、意味分っかンねェ、痛ェエ!」


ピョーンと飛び上がったトモは、そのまま一方通行にダイブ
急な出来事に全く受け身を取っていなかった彼は普通に痛い


「行くよレータ、遊園地が私達を呼んでるぜ!」

「だからってなァ、いきなり飛び付いて来るヤツが、」

「ミサカもミサカもー!ってミサカはミサカはピョーンとうさぎさん顔負けのジャーンプ!」

「ミサカ上から?ミサカの胸で窒息死しても恨まないでね」

「やめンかクソッタレェエエ!!」


トモと打ち止めと番外個体の下敷きになった一方通行
三人はあとでお叱りを、チョップ三昧の刑を受ける事に

それでも一方通行は一方通行だ
何だかんだ言っても最終的に優しい人、だ。
結局は一緒に行くところが親御さん…と言うのだろうか


――――


「トモさん実は初めてなんだ」

「もちろんミサカもだよってミサカはミサカは、」


ゆーえんちー!と、トモと打ち止めは、手を繋いで初めての遊園地に感極まり走り出す


「何あのテンションの高さ?ってミサカ先が見えて来た、転けるよ絶対」

「「いったーい!」」

「ホラ言わんこっちゃない」

「全く手間の掛かるガキ共だ」


期待を裏切らない二人は、見事に揃ってズッコケる
後ろから呆れた様に行く先を見守った番外個体と一方通行は、溜め息を零し近寄った


「オラ、クソガキ共」

「うん、起こしてくれ…っていだッ!?」


転けたトモを見下ろす一方通行が手を差し伸べてくれたので、起こしてくれるのかと思いきや、チョップが降りかかってくる
転けた+チョップのダブルパンチだ


「走っちゃトモダメなんだからってミサカはミサカは注意してみたり」

「なァに涼しい顔してンだ?オマエもだボケ」


標的はトモに絞られたとばかり思っていたが、当然打ち止めも同罪だ


「走ンな、歩け!つゥか動くな」

「それじゃ何も出来ないし?やっぱ親御さんだねーって、いった!?はァ?何でミサカがチョップくらってって、」

「なンとなく。」


まだ着いたばかりでコレでは、先行き不安だ。





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