Extra Joyful

□ご想像にお任せします
1ページ/1ページ


時計の針は夜中一時を指した所だろうか
大抵の人間は寝静まっている時間帯

そろそろ寝ようか、そう思っているとドアが静かに開いた
電気の消えた部屋に薄くシルエットを映す
一方通行の座るベッドの目の前にまで来たトモは開口一番に、


「大人にしてください!」


そう言って両手を一方通行に向かって広げた


「…はァ?」


トモがアホでバカでボケなのは分かりきっている事だ

今日は一体なんだ?
なんのボケを夜中にかましに来ているんだろうか


「俺にナニ求めてンだァ?」

「愛を求めてるー!」


良く見れば、キャミソールにショートパンツを履いたラフで薄着な格好、下着と言ってもいいぐらいだ

毎度の事ながらスットコドッコイのトモな訳だが
一方通行は少し考え行き着いた先は、

 …つまりそう言うことなのか?


「そォかよ」

「…うわッ!?」


延ばされた腕を引っ張れば、構えていなかったトモは簡単にベッドに沈んだ
組み敷き下から見下ろす
そうすれば、トモの視界は一方通行でいっぱいになった


「つまりオマエは犯されに来たっつーワケだろ?お言葉に甘えて美味しく頂いてやンよ」

「サラッと言われると照れるな!」


それの何処が照れてる顔なんだ…
満面の笑みで言ったトモのある意味神経の図太さに一方通行も呆気を取られる


「ちったァ可愛らしく鳴くコトでも覚えたらどォなンだァ?」

「あぁーレータが脱いだ!?」

「イイか?誘ったンはトモだ、オトナになれよォ」


組み敷いたまま一方通行は上着を乱暴に脱ぎ捨てる
白い肌に程良く付いた筋肉に見惚れる自分が居た

ニヤリと口端を上げた一方通行と目が合い、ドキンッと心臓を跳ね上がらせていると一方通行の顔が下にゆっくりと降りてきた
そのまま首に顔を埋め、


「…ン……んんッ…!?」


軽く舌を這わせ、再度ねっとりと舐めあげた


「鳴けンじゃねェか、トモチャンよォ?」


普段なら聞けないであろうトモの甘い声に気分が高ぶる
それは一方通行も一緒だ
可愛く唸るトモの耳元に口を寄せ静かにトモだけに聞こえる様に囁き甘噛みする


「あッ…くせら、」


何かに耐えるようにトモは、暇な両手を一方通行の首に回しギュッとしがみついた

面白い程の言動に手を動かしキャミソールを捲り上げ大きくも小さくも無い膨らみに手を掛けた瞬間に事件は起こった


「………ぷっ、」

「プッ………?」


何だその効果音?
怪しんだ一方通行は、もう一度今度は荒々しく鷲掴むと


「ウぷ……フ、わハハ…アハハハ…!もーダメだ我慢出来ない」


突如、堪えていたモノを吐き出して盛大に笑い出したトモ
どうせこんなモンだろうと思っていた一方通行は、手を離し顔を上げ一人爆笑するトモに冷ややかな目を送った


「もうくすぐったい!ちょっと頑張ったけど無理だ、笑い堪えんの必死ってね〜」

「あァそォだ、オマエはこォゆゥヤツだよなァ」


何かに堪えていたのはくすぐったくて
可愛い声も何もかも…

全てはこそばいが為に出た声だ

珍しく甘い空気が漂った二人だったが、結局はこう言うオチ付きだ


「で、誰だ?」

「何が?」

「ボケ吹き込ンだボケは誰だ」


何となく…いや、聞かなくても誰かは分かる


「つっちーとかきぴー!」


大体分かっていたが、外す事なく正解だ

まずトモが‘大人にしてください’なんて言う発言からして、また漫画かドラマに影響されたか誰かに何か吹き込まれたかと想像はついていた

軽く乗ってやれば、まさかのこそばくて笑うオチで終わった訳だが…


「土御門と垣根が思春期男子の生殺しにゃーとかヤってねーなんて可哀想だとかって」

「あン?」

「俺達が一肌脱いでやるってコレ着て夜這いしてこいって教えてくれたのさッ!」


トモの一つ一つの言葉に一方通行は徐々に眉間の皺を深めていく

本当に何を吹き込まれて何を実行してんだか…


「次はこの服を二人に披露するのさッ!」


思春期男子はどっちだ…
土御門も垣根も下心がダダ漏れだ

一方通行に披露した後でいいから、次に俺達に披露してにゃーと変態土御門。
トモ愛してんぜと、何故そこで気取って告ったの分からないメルヘン垣根

自分の周りは本当に平和でバカなヤツが増えたモンだと一方通行は盛大な溜め息を零す

まあ言っても、一番のバカは組み敷かれ下に居るトモ、か


「ンなにケツが振りてェなら構わねェけどよ?」

「ブッ…!」


そして彼は、ゆっくりと下りていき再度トモの首に顔を埋める
それだけで、まだ何もしていないのに吹き出す

トモはボケだが別に分かっていない訳ではない
漫画やドラマを散々見て過ごしてきたんだ、知識ぐらいはある

ただ少し、いやかなり抜けてるだけ


「オマエ一晩中可愛くねェ鳴き声あげっぱだなァ」

「う…アハ、ギャハハ…ハハハ!ムリムリギブギブッ!」


何かチクッと痛いような、それでいてくすぐったい
未だに首に顔を埋める一方通行の背中を我慢しきれなく、ムードも何も無い笑い声と一緒に叩いた


「あーお腹痛い!でもアレだね一方通行!」

「あァ?」


漸く解放されたトモは、目尻に涙を溜めていた


「今のはやきも、」

「テメェまだ鳴き足りないってかァ?」


トモの言葉を遮る様に被せ、再び攻撃に出ようとするが勘弁してくださいと、直ぐに謝った

言い方は悪いがコレはトモでも分かった


「じゃレータだけの特別サービスだね〜!」


そう言って、首に回した腕で一方通行を引き寄せ頬にリップ音を立てキスを落とした


「フンッ、マセガキが」

「おッ照れた〜?ってことで今日は一緒におやすみー!」


隣に並んだ一方通行に邪魔な程にぴったりとくっついたトモを鬱陶しく思いつつも眠りについた


――――


「トモ発見!ここで寝てたんだねってミサカはミサカは…んん!?大変ってちょっとみんなってミサカはミサカはあたふたと興奮さながらに叫んでみる!」


起きると部屋に居なかったので探しに出た打ち止めは早々とトモを見つける
広い家だが、一人捜す事など容易い

打ち止めの叫びにゾロゾロとやって来た三人


「おっ?何があったってミサカがゾクゾクしちゃうような事が起きたワケ?」


ニヤニヤと番外個体はトモと一方通行が眠るベッドへと近付く


「堂々とまぁ、愛穂今日はお赤飯じゃないの?」

「ちょっと待つじゃん、私は教師の立場か親の立場か…いや、どっちも…でも喜ぶとこ…違うな…よし、ほっとくじゃん」


芳川は呑気に晩御飯の献立を
黄泉川は色々考えた末に考える事を止める


「トモも一方通行も風邪ひいちゃうよってミサカはミサカはドキドキしながら言ってみたり」


別に一緒に寝ている事は驚かない
何が驚くかと言われれば、はだけた布団から覗く見るからに上半身裸な一方通行と薄いキャミ姿のトモ
加えて一方通行がトモを抱き枕にしている特典付きだ


「これで一方通行をイジるネタが増えたにゃーん!しっかり真っ赤なモンまで残しちゃってさー?ニヒヒ、ヤラシいゾ☆」

「トモの首に虫さされってミサカはミサカはって番外個体何してるのって訪ねてみる」

「やっぱ一応ティッシュは探しとかないとさー?トモの腹が膨らむかもしんないし」


ニヤニヤニヤニヤしながら部屋の中を捜索する番外個体にあまり意味の分かっていない打ち止めも一緒になって‘ティッシュ’探し

ちなみにトモは全く気付いていなかったが、チクッと痛くこそばかった正体はこの真っ赤な痕
一方通行に吸い付かれた証だ。

昨夜は何かしら起こった訳だが、でもこれは全くの未遂だ
服を着ていないと言う訳で妄想を膨らました四人に見守られながら一方通行とトモはピクリともせず眠りこけた


ご想像にお任せします
(でもここは説教でもしてみるじゃんよ)
(ミサカもお説教ってミサカはミサカはアナタだけトモと一緒に寝るなんて許さないんだから!)
(ティッシュが見つかんないんだけどーってこりゃ妊娠確定か☆)
(恐ろしい子が産まれてきそうね)



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]