Extra Joyful

□1+1+1=
1ページ/1ページ


部屋を片付けたい!の唐突に思いついた衝動に駆られトモはタンスの中身をぶちまけて掃除を始めた


「そー言えばこんな服も持ってたっけね〜」


服をぶちまけている時点で最早片付け所か、散らかしている始末
そして片付けそっちのけで散らかした服から懐かしい服を見つけては、思い出に浸る


「オォッ!?このちんちくりん服は懐かしすぎる!まだ残ってたんですか!」


その中で見つけた服、今の自分じゃ到底着れそうにもない小さなワンピースを見つけた
両手で持ち上げ掲げた服は、幼少期に辛かった日を共にしたワンピースだった


「懐かしいなぁ」


能力の暴走で誰にも姿を捉えて貰えなかった八年間を一緒に過ごした服。
それはそれは、ある意味思い出の詰まったモノだ

あの頃から成長したトモにはこの服は着れそうにもない
着ればワカメちゃんだ。
パンチラ所ではすまなかったり…

ただ捨てるのも勿体無い


「ひとり着てくれる人が居るじゃないかー!」


アッ!と閃いたトモは、大きな声で叫びこの服ピッタリサイズのチビ幼女を呼んだ


「ご指名ありがとうございますってミサカはミサカはNo.1ギャバ嬢になりっきって登場してみたりー」

「今日も可愛いミサカちゃんにドンペリを一つ頼もう!」

「さすがトモってミサカはミサカはノリの良いお客様をしっかりお持て成ししちゃうんだから」


呼ばれた打ち止めは素早い登場を果たす

何処で‘ギャバ嬢’なんて言葉を覚えたのか…
そしてしっかりノるトモも何処で覚えたのか…


「ギャバ嬢に気を取られて今気付いたんだけどってミサカはミサカは服の散乱する部屋に今更ながら気付いてみたり」

「チッチッチ!今片付け中なのさッ」

「素直な意見を述べてみると…数時間前の方が片付いてたってミサカはミサカは正直な意見を言ってみたり」

「ミサカさん!そこは気にしてはダメなのです」


正直過ぎる意見を言われて、流石のトモもそれは分かっていた事実
分かっていたがもう散らかしてしまったモノは仕方がない

気にしてはいけないのだ。


「ミサカにも手伝わせようって言うトモの魂胆なのねってミサカはミサカはお掃除モードに切り替えてみたり」


腕の袖を捲りやる気満々の打ち止めにトモは本来の用事を思い出す


「ありがとミサカ!でもその前に〜この服をプレゼントしようと思って呼んだんだよ」

「ワンピース?ってミサカはミサカは渡された服に胸を高鳴らせてみたり」

「私が昔着てた服なんだけどね〜小さくてもう着れないから貰ってくれる?」

「断る理由なんて無いのでありがたく頂きますってミサカはミサカはうわあ〜い!トモありがとー!」


服を持ちながらクルクルと回って喜ぶ打ち止めに、こちらまで嬉しくなってくる
ただのお下がりでここまで喜んでくれるなんて、あげた甲斐があるもんだ


「この服はね〜トモさんが透明人間時代を共にしたワンピースなんだ」

「フムフムってミサカはミサカはトモの話に聞き入ってみる」

「ミサカで言うアレだね、苦楽を共にしたワンピースさッ!」

「そんな大事な一品をもらえるなんてってミサカはミサカはトモの代わりに大切にする事を宣言してみる」


ニヒッと笑い合った二人は、部屋の中で揃ってクルクルと回り出す
喜びの舞…らしい。
言動に接点が無いだけに端から見ればさっぱりだ


「おっピッタリだね〜!」


早速頂いた服を着る打ち止めにサイズは丁度良いようだ


「これでミサカは幼少期トモとお揃いだねってミサカはミサカはスカートの裾を持ち上げてみたり」

「上手いこと言ったねミサカさん!その言い方トモさんとっても嬉しいぞ〜」


あの頃着ていた思い出の服は、打ち止めへ
自分が着ていた服をまた誰かに着てもらえるのは嬉しい事だ

幼少期の自分と‘お揃い’だなんて本当に上手いこと言ったもんだ


「あってミサカはピコーンってミサカはミサカは自慢のアホ毛を立たせて閃いてみたり」

「何ソレめっちゃ可愛いよ!」


突然の閃きにしっかりと反応したアホ毛がピンッと立つ


「どうせならお揃いのワンピース着ようよってミサカはミサカは提案してみたり」

「まあ素敵な提案!」


手を合わせて打ち止めの提案に乗ったトモ
そうと決まれば早速結構だ

部屋は散らかしたまま街へと繰り出す
後にトモと打ち止めは黄泉川と芳川からお叱りを受けることになる


――――


「見てみて〜!お揃い仕様の私達可愛いでしょー」

「持ってるようで無かった初めてのお揃いなのってミサカはミサカはアナタに見せびらかしてみたり」


店で試着後、そのまま着て帰って来たトモと打ち止めは、帰って来て早々に一方通行の前に姿を現した

チラッと見た一方通行は、フゥーっと息を吐き、


「ハイハイ」


適当にあしらう。


「ミサカやっぱり拗ねてるよ、仲間外れにされて」

「こういう所があの人の子供っぽいトコだねってミサカはミサカはヒソヒソとトモに耳打ちしてみる」


適当に返事しようが、しっかりと意見を述べようが。
結局は勝手な妄想で話をされるこのパターンは慣れた

こちらに目線をやりながら聞こえている全く意味のない内緒話をする二人を見て一方通行は思った

アホ面どうしでお揃いのワンピース
まるで姉妹のようだ、と。


(違ェな)


そう思ったが、少し訂正
忘れちゃいけない単語を頭の中で付け足す

あの二人はボケ姉妹だ、と。


「なンだァ?」


そう思っていると、ボケ姉妹達がソファーに座る一方通行の空いた両隣に座った


「大丈夫!ミサカと私は2コ1だけどー!」

「ちゃんとアナタのコトも忘れてないよってミサカはミサカはお伝えしてみたり」

「あン?」


アホ面を引っさげて両隣から笑顔を向けるトモと打ち止めに嫌な予感しない一方通行がいた

この広い世界で奇跡のような確率で今を共に出来ている
それぞれが違う道を歩いてきた中でこうして出会うことが出来た

そんな奇妙な三人の生活はまだまだ続く


1+1+1=
(ジャジャーン!これでレータもお揃いー)
(三人一緒ってミサカはミサカはアナタにもお揃いのワンピースを贈呈してみたり)
(これで3コ1さッ!早く着てちょーだいよ!お揃いで遊びに行こー)
(誰が着るかァアア!!)



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]