SHORT STORY

□打倒マンネリ化!
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「いい?よーく見ててね」

「おー」





寒いこの季節。

今日は珍しく風も無く暖かくてぽかぽかとしていたからマグノリアの街を一望出来る丘の上でランチを食べに来ていた



だからあたしも珍しくお弁当とか作ってみた



一緒に来ているのは、もちろんグレイと。


付き合って約一年ぐらいかな。


一年も付き合ってるんだけど、あたしがグレイに手料理を振る舞ったのは今日が初めて



それにグレイは心底驚いていた




「って、具が卵焼きだけかよ」

「あたしの得意料理ー!」




お弁当の蓋を開けるなりグレイがそう言ったので、あたしは胸を張って言った。


得意料理の卵焼きをお弁当箱に敷き詰めて来た
だって他も一応作ったんだけど、全部焦げちゃったもん

あ、ちゃんとおにぎりもあるからね?





「そこの変態!俺と勝負だ!つか好きだー」

「却下。ナツに言われても嬉しくねえよ」





一年も付き合っていれば、なりたくないけどいつかはマンネリ化と言うものが出て来る訳で


と言ってもまだそんなものは、あたしとグレイの間には来てないと思うけどね



でも、いつやって来るか解らないマンネリ化に備えてあたしは準備中。



わざわざ、外でご飯を食べてるのは、たまには違うこともして飽きないようにする為。

今はグレイにどのあたしが一番好きか見てもらってるのだ


ちなみにあたしの得意魔法はモノマネ。
姿形は真似出来るんだけど、声までは出来ない
そこはあたしの表現力にかかっているのだ


ただ今、グレイの周りに携わって居る人のモノマネ中。

もちろん最後に好きって言うのは忘れずにね!



だって、いつまでもあたしのこと好きで居てもらいたいもん




「あい!魚も好きだけどグレイが一番好き」

「それ、可愛いな」




おぉ!
なんか好感触っぽい

ハッピーで言ってみたら可愛いって言われた


うんうん。
グレイはハッピーが好きっと…




「グレイ様〜!大好きです」

「ハハッ、似てんぞそれ!」




そりゃ、ジュビアは観察しまくってますから


いや、訂正します

監視しまくってます。
しっかり見張って置かないと、いつかグレイがジュビアに持って行かれそうだから



ジュビアのモノマネが面白かったのかグレイは腹を抱えて笑っていた




「ギヒヒ、好きだ」

「それはナツ以上に却下」




ガジル不評ー
あたし的には笑い方そっくりで気に入ってたのにな




ミラやカナ、エルザにロキ。
極めつけはラクサスまでやってグレイに披露した


そんなあたしのモノマネを見てグレイは終始爆笑していた



最後はやっぱりコレかな…





「大きい胸がお好き?でも胸じゃなくてあたしを好きになってくれる〜?」





色仕掛け。
ルーシィと言えば胸!
あたしにもこんな豊富な胸があればよかったんだけど…


ルーシィのモノマネ特権をフルに使って胸を両腕で寄せて谷間を作って四つん這いの形で上目使いでグレイに近寄る



案の定、男の子だから胸にも目がいくわけで…




「ルーシィは姿だけで、言葉は本心だな」

「そう!よく解ったね」

「まあな。こんだけ長く付き合ってたら解るだろ」





さすがグレイ。
あたしのことはお見通しだね


あたしを好きで居てほしいと言う気持ちを込めた渾身のルーシィ




「で、どれが好きかな?」

「何でマスター?」




やっぱり最後はマスターで締めとかないとね
だって、妖精の尻尾のマスターなんだから。





「そうだな…ちょっと元に戻ってみ?」




グレイがそう言うので小さなマスターのモノマネを止めていつものあたしに戻った



元に戻ったあたしはグレイの目の前に正座して座り直す

グレイの次の言葉をジッと座って待った。




「俺は今の方が好きだけどな」




不意をつかれてさりげなく言ったグレイに逆に拍子抜け

自然に放たれた言葉に目を丸くしてグレイを見た


そうするとガッチリ目が合ってグレイは優しい目であたしに笑いかけた



「どれも面白かったけど」

「決してウケを狙ったんじゃないよ?」

「誰かのモノマネされても俺はお前が好きだからこうして長く付き合ってんだろ」

「好き!?」

「好きじゃなかったら他の奴のとこ行ってるっつーの!で、何企んでたんだよ?」

「…マンネリ化対策。」




あたしの言葉にグレイは一瞬固まって笑い出した

そこ笑うとこ!?
あたし結構頑張ってるんだから




「バカだなホントに」

「バカじゃないもん!」

「俺に飽きた時だな」

「何が?」

「マンネリ化」

「グレイがあたしに飽きるかもしれないでしょ?」

「お前が彼女で飽きる男が何処にいんだよ?ま、飽きるつもりもねぇし、離すつもりもねえ」




あっ、それ!
今のとてもキュンと来たよ!
グレイ今のあたしのハートをガッチリ掴んだ

サラっと言うとこがより一層カッコ良く見える。

あたしもグレイが彼氏で飽きる訳無いよ
離してもあげないんだから




「グレイ、抱き着いてもいい?」

「どーぞ」




グレイはそう言って両腕をあたしに向かって出した

そんなグレイの胸に飛び込むように抱き着きに行った



そしたらグレイも自然とあたしを包み混んでくれる




「打倒!マンネリ化!」

「もう勝ってるって」





改めてグレイが好きだなと感じたある日の昼下がり。







END

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