SHORT STORY

□パンツとグレイは必需品
1ページ/1ページ


「グレイ寒くない?」

「んあ?…あぁ!」


飽きもせずにまたやってるよこの人…

あたしの隣を歩くグレイ
不意に隣を見れば、お決まりのパンツ一丁姿のグレイが歩いていた
この寒空の下、どうして人に言われる前に自分で脱いだ事を気付かないのかな本当に

て言うか寒いのにどうして脱ぐのかしら…


「服を何処で脱ぎ散らかしたのよ?」

「分んねえ…」


そう言って頭をポリポリとかいたグレイ


「服かし…」

「貸しません!」

「ひでェ」

「脱ぐグレイが悪いんでしょ?」


脱ぐと必ず一回はするやり取りを
それ他の人に言って貸して貰えた試しがあるのだろうか?


「服は貸さないけど仕方ないからコレ貸してあげる」

「お前が寒くなんだろ?」


あたしの首に巻いてあるマフラーをグレイに巻いて上げる
パンツ姿のグレイの方が何倍も寒い筈
なのに、たかがマフラーを貸してあげたぐらいで逆に心配される

マフラー貸してあげた事には心配するくせして、服を貸して貰う事に対しては大丈夫なのね
心配するとこズレてるし…


「プッ…」

「何だよ?」

「それ知らない人が見たらホントに変態ね」


グレイの格好を見ていたら思わず噴き出してしまった
パンツ一丁でマフラー巻いてるなんて、完璧に変な人ではないか
アハハ、と笑いが止まらなり、お腹を抱えて笑いだす


「ちょっとこっち来てみ?」


グレイの姿を見て爆笑していたら、手招きされながら呼ばれる
何かと思って近付いて行くと、腕を引っ張られグレイに抱き締められる体勢へとなる


「お前はその変態に抱きしめられてんだよ!」

「サイアクー離してー!」

「離してやるワケがねーだろ?」


暖かいなと言ってグレイは更に腕の力を強める
グレイの胸板はとても冷たかった
早く家帰らないと風邪引いちゃうなコレは。


「早く家帰るよ」

「イヤ」

「何でよー?」

「たまにはイイんじゃね?こう言うの」


たまにはって外でハグってコト?
何、可愛い事言ってんのよグレイのくせに…


「どうしてあたしこんな変態好きになっちゃったんだろ?」

「でも好き何だろ?」


ニカッと笑って言うグレイ

何よグレイのくせに
今度はちょっとカッコよくなっちゃって


「俺は好きだけど、ツンデレなとこ?」

「あたしもまあまあ好きよ変態なとこ?」

「まあまあって…つか変態なとこがかよ!」


寒空の下
今日もパンツとグレイは必需品。



パンツとグレイは必需品
(変な目で見られてるから離れて欲しいんだけど?)
(ムリだ)
(あたしまで変態に見られるでしょーが!)
(しゃあね、変態なんだからよ?)
(一緒にすんなー!)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ