SHORT STORY

□変態注意報!
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「入るぞー」

「…は?入るなー」




ガチャリとドアノブを捻る音がすれば、ドアがゆっくりと開きそこに立つグレイの姿が見える

何の前触れもなく入るぞと言う一言とともに入って来るグレイに本気で焦る


あたしが抗議の怒声を飛ばすも無意味なもので、時既に遅し。


声と被った時にはグレイは扉を開け入って来ていた


ザブーンと言う効果音が似合う様にグレイは勢いそのままに、あたしの入っている湯舟に許可も無く侵入して来た






「何で入って来てんのよ!」

「ん?今更恥ずかしがってどーすんだよ」






広くもない浴槽に二人で身を沈めている為、お湯がこぼれて行く


広くもない浴槽に二人で入れば、密着度は半端ない


お互いの膝がぶつかり合う。



あたしの抗議の声にグレイはニヤニヤと返した


…恥ずかし過ぎる


一緒にお風呂と言うシュチュエーションが恥ずかしいのだ


あたしの身体なんて見慣れてるかもしれないけど、この明るい状況下ではどんだけ見慣れて様が恥ずかしいもんは恥ずかしい


今日に限って入浴剤は薄いピンク…

お互い丸見え状態…





「こうでもしねぇと一緒に入ってくんねえじゃん」

「だって入りたくないもん」





そんなグレイは何とも思ってないらしくいたって普通。
まあ、自分でも何を恥ずかしがるのかって話な訳で…


ヤる時は何が何でも電気は消すでしょ
でも風呂場じゃ消すに消せない


ホントにヤダ、恥ずかしい…



あたしはグレイに見られたくなくて必死で両手で隠す





「おーい、隠れてねえよ」

「グレイもちょっとは隠すの!」




風呂場によく響くグレイの声に上と下を両手で頑張って隠すあたしの努力は無になる


あたしとは反対に全く動じないグレイは浴槽に手を置きおっぴろげ…


見てるこっちが恥ずかしい





「わかった!後ろ向くし」





見られない打開策を発見。


そうよ、何も向かい合わなくたっていいのよ

後ろを向けばグレイは見えないしあたしも隠せる


まさに一石二鳥じゃない





「バカだなお前、後ろ向いたら俺に捕まるに決まってんだろ?」

「ぎゃあぁ」

「もっと可愛い声は出ないのかよ」





打開策は呆気なくグレイにより状況を最悪にされた


後ろからお腹辺りに腕を回されて捕まってしまう


ピッタリとお腹にくっつく腕はそのまま引き寄せられ、グレイの足の間にすっぽりと収まってしまったあたし



余計に恥ずかしさを増す羽目に…





「たまにはこういうのアリじゃね?」

「ナシですね」

「大丈夫だっての、何もしねえから」

「とか言いつつ、手が上に上がって来てますけどー」





もうここまで来たら恥ずかしいとか思っている自分がバカらしくなって来た。



変態グレイのやらしい手を阻止すべく、右手をつねってやった





「それ以上、手を上に持って来たらグレイの息子ちゃん再起不能にしてやるからね」

「真面目に怖いこと言ってんな…」





すぐ手の届く位置にあるブツはグレイが何かしようと思えば、握り潰すことは可能


それを強調して言えば、想像するだけで冷や汗が出る思いをするグレイ





「ホントに再起不能になったらどーしてくれんだよ」

「あたしが女の子にしてあげるじゃない」

「女同士か…悪くねぇ」

「変な想像すんなっ!」





あたしは女の子として接してあげるって意味で言ったのに、グレイと来たら全く的外れなことを言い出した


グレイの頭の中はそんな想像しか出来ないのだろうか?



あたしは女同士なんて興味ないっての…


そんな的外れなことを言い出すグレイを本当に使えなくしてやろうと思い、肘で軽く殴ってやった。


だけど以外と強かったみたいでグレイはう゛っ…っとくぐもった唸り声を後ろで小さく発した





「テメェ…よくも…」

「テメェなんて人ここにはいませーん」

「俺は知ってんだからな」

「んぁっ…ちょっ…」





直ぐに復活したグレイは仕返しと言わんばからにあたしの左耳を捕らえた


お風呂場と言うこともあり耳にやけに響くなめ回す音に反応してしまうあたし



そん中優位に立ったグレイは容赦なく耳を攻め立てる



それはあたしの弱い所だと知っているからだ。


段々と身体の力が抜けて来ていることをいいことにグレイは、先程あげるなと言った手を再度あたしの膨らみに向かって行こうとする





「ぃい加減に…」

「聞こえねぇな〜?」





言葉とは裏腹に反応してしまう身体がムカつく。


後ろから耳と胸をグレイに遊ばれる
後ろからってのがまた卑怯すぎる

身動きとれないに決まってる



でも一番ムカつくのは余裕こいてるグレイ。





「んっ…」

「可愛い声が出てるぞ?」

「………んあっ………ゃ、やめんか、ばかちん!」

「いっっ……!!!!」




少しの理性を取り戻したあたしは、そのままグレイの息子を鷲巣かんだ


途端にグレイの手は止まり情けない声が風呂場に響く



痛さに悶えるグレイを後ろにあたしは勢いよく立ち上がり浴槽から出た


そしてクルリと身体を反転させ、グレイの浸かるお湯に目掛けて魔法を放つ





「アンタなんか息子共々、氷漬けになればいいのよ!再起不能になれば?」

「ちょっ、ままてって…」




焦るグレイを余所にパキパキと音を立ててお湯が一瞬の内に凍って行く


あたしのかけた氷の魔法であっと言う間に氷漬けグレイ一丁上がり。


氷の魔導士に氷?って思うかもしれないけど、今の悶えるグレイには痛さに耐えることしか出来ないから大丈夫





「悪かった!早く解いてくれよ」

「自分で解けば?じゃ、お先〜」




痛さと冷たさに助けを求めるグレイを後ろに背を向けて風呂場から出て行った


扉を閉めれば、扉越しに必死に何かを叫ぶグレイがいるけど無視。


グレイとはもう二度と一緒にお風呂に入らないと強く思った




皆さんお風呂場に現れる変質者には気をつけてね






「クソッ、アイツ…後で覚えとけよ」






今だ固まって動けないグレイは扉越しに見える後ろ姿に小さく呟いた

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