SHORT STORY

□クルシミマス
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「ヤーバーイー!」

「寒すぎてね」

「ちがーう!」


寒い…
そりゃ冬だから寒いのは当たり前なんだけど

ヤバイのは寒いからじゃない
寒いことぐらい防寒すればいいことなのよ!

でもこの季節どう頑張ってもどうにもならないことが一つ…


「もうすぐクリスマスなんだよ!」

「ケーキ食べなきゃね」

「そうそう、クリームたっぷりのね!って違うてば」

「だってクリスマスでしょ?」

「クリスマスはクリスマスでも一緒に過ごす人が居ないのよ!」


そう、12月25日はクリスマス
街中イルミネーションがキラキラで雪なんて降れば更にテンションが上がるイベントの一つ。
ただし!
恋人が居なければ寂しいだけのイベント…


「このままじゃ一人でクルシミマス。」


一人で下らないことを言っている場合じゃない
しかも、此処は是非ともミラにツッコミを入れて欲しい所なのに完全にスルーされている始末。

本当にただの寂しい女じゃないか…


「まだ言えてないの?」

「言えてたらこんなことで悩んでません!」


言うとか言わないとか、そう言う問題じゃない
気付いてもらえないのだ

一応、一緒にクリスマス過ごしてくれないかな〜的なことは本人には言ってるのだけども…
全くのスルーであたしは心が折れそうなのを必至で繋ぎ止めている状態だ。


「スナが遠まわし過ぎるのよ」

「何処が!?」

「じゃあ、泣きの一回ってことであそこに居るグレイ誘ってみなさいよ」


そう言って隣に座って来たのはルーシィ

グレイには会う度にそれらしいことを言ってるんだけど…
全然伝わらない。
それはあたしの言い方が遠まわし過ぎるかららしい

そんなことないよ?
あたしはいつだって直球!…のつもり。
でも、もうクリスマスまで日が無い
なんとしてでもグレイとラブラブなクリスマスを送りたい!


「あー今日も、寒いねー」

「そうだな」

「あらっ、居たのグレイ」

「俺はさっきからずっといるっての」

「そうだった?しかしホント寒いよねー」

「風邪引くなよ、スナ」

「うん、グレイもね!あっ、栗食べる?」

「栗か、貰うわ」

「酢を付けて食べると美味しいって聞いたことがあるよ」

「酢?お前それ、ぜってぇ騙されてんだろ」

「夜ごはんはマスが食べたいよね」

「マスって魚か?」

「そうそう!美味しいでしょ〜、一緒に焼く?」


只今、奮闘中の女の子が一人
大好きな男の子のハートを射止める為。
ラブラブのクリスマスを過ごす為。

頑張っている…らしいのだが…


「ミラさん聞いた?」

「フフフ、スナ頑張ってクリスマスって言ったわね」

「アレ、解読出来るの私達ぐらいよ」


話を繋げていくと…

 栗酢マス=クリスマス

本人はグレイに直球で言ったつもりだが、そんな暗号みたいなモノをグレイが気付く筈も無く…

グレイとスナのやり取りを見ているミラは、頑張ってるじゃないと微笑む
一方ルーシィは盛大な溜息


この調子でスナが、グレイとラブラブのクリスマスを送る日はやってくるのだろうか…



TO BE CONTINUED

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