SHORT STORY

□ツンデレチョコ
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「スナちゃん俺にチョコレートはないのかな〜?」


静かに後ろから抱き着きに行きスナの肩に顔を乗せる

俺の彼女、スナは正真正銘のツンデレ彼女
というかツンの方が多過ぎるスナ。

普通女っつーのは、イベントとか大好きなんじゃねえの?
それがスナと来たら何それとか興味が無いだとか…

逆に俺の方がイベント事に敏感になっちまった

今日はバレンタインだ
バレンタインって言ったら好きなヤツにチョコレートをあげる日だろ?
俺は期待して待ってるって言うのにチョコのチの字も出てきやしない

痺れを切らして自分からチョコレートを強請りにいく


「…グレイ」

「んぁ?もしかしてあんのか?」


俺の声に反応してくれたスナに密かな期待を込める


「ギルドで抱き着くなって言ってんでしょー!?」

「お、おいっ!ダーリンになんてコトしやがる」

「誰がダーリンよ!」


ギルドの中では、普段煩い連中も妙な雰囲気で…
この雰囲気に乗ってならスナに甘えに行っても大丈夫だと思ったのによ?
スナに怒鳴られるわ腹にフック入れられそうになるわ…

本当、素直じゃねえな
スナはプリプリと怒ってどっかに行ってしまった


「あら、スナにフラれてやんの」


全然面白くもなんともねえ
だが、そんな俺が面白いのか向こうから笑って歩み寄って来たのはルーシィ


「ツンだからな、そこが可愛いんだよ」

「ツンってアンタね…まっ、そんな可哀相なグレイ君にあたしがチョコレートをあげよう」


義理だからねーと言ってルーシィが俺の顔の前で包装されたチョコを揺らす


「しゃあなく貰ってや……スナ?」


俺の言葉を遮ったのはツンちゃんスナ。
さっきどっかに行ったスナが何故か俺の目の前に立っている


「ルーシィ義理チョコはあたしが貰う、ありがとう」

「いいのよ〜スナになら本命チョコにしてもいいけどね」

「じゃあホワイトデーにはお返ししなくちゃ!」


一体何だって言うんだ!?
それは俺が貰うはずだったチョコレートだろ?

しかも、おいおい…
本命ってなんだよ!?

スナはルーシィの彼女になるつもりか!?


「スナは俺のハニーだっての!」

「はあ〜、分かってるわよ。じゃあまたねースナ」


グレイは一人訳が分かっておらず、ルーシィからスナを取られるのを阻止する為に目の前に立つスナを抱き締めた

ルーシィはスナの可愛らしいヤキモチに気付きこの場を平和にやり過ごす為に手を振り去って行った


「グレイ、ちょっと来て」

「ん?おう」


ルーシィが去って行くのを二人で見送りながらスナがそう言った
珍しく抱き着いたままでも何も言わないのを良いことに、俺はそのままスナに着いて行った
スナは歩きにくそうにしながらも、それでも何も言わずに歩く

ギルドを出て行き外に出る
着いて行くとギルドの裏手にやって来た

勿論、誰も居なかった


「ぐ、グレイは、」


目的の場所に着いたのかスナは身体を俺と向かい合う様にして振り返った


「グレイは……あたしの……」


こんな可愛いスナを見んのは久しぶりだな
やっと分かった、妬いてくれたんだろ?

顔を背け耳まで真っ赤にしたスナが声を絞り出し言う


「そうだな、俺はスナのだな」

「コレ、作ったから…」


そっぽ向いたままのスナがぎこちなく俺の前に包装された包みを渡してきた

普段ツンツンしているヤツが慣れないコトすると可愛いって言うだろ?
今のスナはまさしくそれ

俺にはチョコなんかねぇと思ってたよ、


「あるんじゃねぇか!素直じゃねーなぁ?スナちゃんは」

「やっぱりあげない」

「嘘だって、サンキューなスナ」


わざわざ人の居ない裏手まで来てこんなことをするスナを可愛いと思うのは俺だけか?
まあ、他のヤツに可愛いと思われても困るんだけどよ


「バカ、アホ、変態、」

「ハイハイ」


言葉とは裏腹に頭をピッタリと俺の胸板に押し当てる様にくっついているスナ

本当、素直じゃねえな
まあそこがスナの悪い所でもあり可愛い所でもある

そんなスナのオデコに軽くキスを落とした




END

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