Comes Up

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「あっ!」

「あァ?」


バッタリと出くわしたのは、この間の影の薄い真っ白真っ黒サン

醤油を切らしていたので、買い出しに行こうと思って玄関扉を開けると丁度お隣も出て来た

今まで一度もお隣サンなんて会った事は無かったけど、一度会うと二度目もあるもんだなとか思う


「今日は無視しないんだ」

「今日はケツ振ってねェのか」


人をケツ女みたいな言い方をする白いのを怒鳴り散らす
今日は、って会ったのはまだ二回目だ!


「影薄サンは何処行くの?」

「なンだァ?そのショボい名はよォ」

「一緒のタイミングで出て来たってことは、やっぱりストーカー!?」

「言ってろケツが」


話が噛み合っている様でいない二人。
階段を降り、同じ方向へと歩みを進める


「オイ、ケツ」

「ケツじゃない!トモ!」

「ケツ何処まで着いてくンですかァ?」

「どーしてもケツって言いたい訳ね…別にストーカーしてる訳じゃないんだよ、たまたま方向が一緒な訳。で、影薄サンこそ何処まで着いて来るのさ?」


お互いを勝手に付けたあだ名で定着しあう。
トモに関しては名乗ったにも拘わらず、ケツ呼ばわり
影薄サンこと一方通行は名乗ってもいない

妙なやり取りを道行く人々は変な目で見るが気にしない
だが、視線には恐怖の目が混じっている気もする


「何か見られてると思わない?」

「ほっとけ」

「そう言えばさ〜」

「一方通行!」

「あン?」


影薄サンの名前は?
って聞こうと思ったが、私の声を遮る様に別の声が被せられた

それに反応した影薄サンは後ろを振り返った
吊られて一緒に振り返る


「皆さん顔こわーい」


ざっと十人程だろうか?
眉間に皺を寄せた人達が思いっ切りこちらを睨んでいた

この人達に睨まれる様な事をしたっけか?


「ごめんなさい。もうしません」


取り敢えず頭を下げて謝る事に。

目の前に居る人達は記憶のどこを探っても知らない人達だが、怖い顔だし、何より平和に過ごす為には謝っとけばなんとかなるだろう

暫くそうして頭をあげると、何だよコイツ?な目で見られてたり…


「アレ?このノリ違う?」

「いンじゃねェか?それで終わるンならなァ」


そのまま彼の方へ視線を移せば薄い笑みを浮かべていた

なんだこの空気…


「この間の借りを変えさせてもらうぜ、一方通行さんよ」

「女なんか連れやがって余裕だな」


素敵に私の謝りをスルーされて続く会話

連れてる女って私か?
違う違う、言い方おかしいから

って、一方通行?
もしかしてこの影薄サンの事?


「ケツ、被害に合いたくねェなら退け。三分で終わらせてやンよ」

「ケツじゃないし!ってアナタはどーす…」


銃弾やら炎やら雷やら…
私の言葉よりも先にそれは此方に正確には彼を目掛けて向かって来ているのは、気のせいでは無い筈だ

一瞬過ぎて身動きが取れず、あーっと口を開ける

でもそれは三分所か一瞬で終わった
放たれた攻撃は全て彼に当たる事なく跳ね返っていく
ガァとかうわぁとか何故か攻撃を仕掛けた相手がバタバタと倒れて行った

私から見ればただの自滅しただけの人達かの様に

なんて間抜け図…

白い彼は手を出すこと無くその場に立っていただけ
一瞬で終わった光景に開いた口が塞がらない


「何度来ようが同じってンのがわかンねェのか?三下はよォ」


ポケットに手を入れ、呆れた様に笑う影薄サンは溜め息混じりの声を漏らす

その一瞬の光景を見ていた私は、


「すごーい!影薄サン見掛けによらず強いじゃん!!」


パチパチと拍手を送り感嘆の声を漏らした


「第一位…強す…」

「第一位?」


延びた男の一人が震えながら言った
第一位、一方通行…


「あーー!」

「あン?」

「影薄サンってもしかして学園都市最強の人!?」

「だったらなンだ」

「こんな真っ白真っ黒の影薄いお隣サンが第一位だなんて…ホント人は見掛けによらないね」


知らないのはお前だけだろ?的な目で見られているが気にしない
恐怖の目を向けていたのは、こう言う事だったのかと納得
私ってば凄い人と喋ってたんだと少し感動


「強いって大変だね〜で、話し戻るけどさ、何処までストーカーする気さ?」

「オマエ、ノーテンキにも程があンだろ」

「だってあの人達延びてるし、話し終了〜な感じだし。ちなみに私はそこのコンビニ行くのです」

「フンッ、ストーカーはオマエだろ」

「まさか行き先一緒!?仕方ないから同行させてあげるよ」


今までの事は無かったかの様に再び歩き出した二人
目的は数十メートル先に見えているコンビニだった二人は肩を並べて店内へと入って行く


「ってことで、今日のご飯は第一位が作ってね」

「はァ?‘は’ってなンだ?つか一位を強調する意味わかンねェ」

「やっぱり料理スキルも一位な感じするでしょ?それに夜ご飯まだだし一石二鳥じゃん!」

「そォかよ…カップ麺に湯注いでやンよ。三分待っとけ」


今日で会うのは二度目。
白い彼の正体が分かったのも今日
だが、会話はずっと前から知り合いだったかの様

色々とツッコミ所満載のトモを面倒臭いので適当にあしらう

学園都市第一位と実は大能力者のトモとの平凡な一日は始まったばかりだ


三分クッキング
(カップ麺はとんこつしか食べないよ?)



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