Comes Up

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「………へ?」


家の前に到着。
当麻のお見舞いに行ったつもりが、結局病室前で会った美琴と喋り帰って来たトモ
帰り道に一方通行と会ったので一緒に帰って来た

そして自宅へと続く階段を上がり自分の家の扉が近付いて来たと同時に一旦停止

間抜けな声と共に立ち尽くした


「ンなトコで突っ立ってンじゃねェ」


先に階段を駆け上がったトモから数秒遅れて来た一方通行は、道のド真ん中で立つトモに邪魔で声をかけた

それと同時にグルンと身体を反転させて一方通行へ振り返り片眉を吊り上げたトモと目があった


「ドアがありません!?」

「あァ?」


訳の分からない事を言うトモの肩越しから前方を見据えた
確かにトモの部屋へと続く筈の玄関扉が無かった


「オメデトウ」

「アリガトウ」


扉の無い部屋を見てからトモに視線を合わせた一方通行が片言で祝いの言葉を。
それを片言で返し受け取るトモ

何がめでたいのか謎だが、のほほんとした空気が一瞬流れて我に返る
またグルンと身体を反転させて部屋の中へと走り出した


「あぁぁああぁ…!」

「なンだァ?」


玄関扉の無い家の前で頭を抱えて発狂するトモに一方通行はうるささに目を細めてゆっくりと足を進めた
トモの横に並び良く見える部屋の中を観察


「オイオイ、こりゃァ掃除しなさすぎだろォ?」

「そーなんだ、掃除しないとダメだなって思ってたんだ〜………って違うし!!」


クワッと勢い良く一方通行へ顔を向ける。
荒れに荒れた扉の無い部屋前で並んで立つ

トモの部屋の中は悲惨なモノで…
食器は割れ床に飛び散り、ベッドは切り裂かれたのか羽根が舞い散る
机は真っ二つ

生活出来るスペースは最早残されていない
なんせ玄関扉が無いのだから問題はそこからだ


「泥棒?空き巣?扉パクった?」


腕を組みうーんと悩む。
胡座でしっかりくつろぎに入る


「恨み買うような事した覚えないんだけどな〜友達居ないし」

「自分で言ってへこンでンな」


肩を落としあからさまに自分の言葉で落ちるトモに呆れた目で見る一方通行は珈琲を一口含んだ


「ってことで宜しくお願いします!」

「あァ!?」


取り敢えず崩壊した家の前で立ち尽くしていても仕方が無いので一方通行の部屋にお邪魔するトモ

家に来れば?とか言われた訳ではない
突っ立っているのも疲れた一方通行が自宅に帰る為、去ろうとすれば笑顔で金魚のフンの様に着いて行った
ジトーと笑顔のトモを見て何も言わずに部屋へと上げた今の状況。


「ナニが宜しくだってェ?」


そんな中、部屋に上がるなりベッドを陣取っていたトモが土下座の体勢を取って一方通行に向かって前のめり
言おうとしている事はなんとなく分かる
だが、一応を確認取ってみる事に


「一方通行さんの家に泊まらせて貰うのさッ!」

「カエレ」

「あんな家で寝たら食器の串刺しになりますけど」

「しゃァねェから葬式は行ってやンよ」

「大丈夫だーいじょぶ!影薄サンは何だかんだ言っても優しいからね」


じゃおやすみ〜と土下座体勢から寝る体勢へ
ベッドに入り寝出す。
一方通行はチッと舌打ちをしてまた珈琲を口に含む

そして気付く。


「オイ、ケツ」

「ん?」

「テメェがそこで寝たら俺はドコで寝るンですかァ?」

「あぁ!ごめんねー真ん中占領して、ハイ」


そう言って右側に寄り、人一人寝られるスペースを作ったトモに目を細めた一方通行

要するに隣で寝ろと言うことらしい


「ナニが悲しくてケツの隣で寝ろってンだァ?」

「照れるなよ〜!」

「死ね」


数秒の間もなく即答する一方通行を無視して寝出す。
動く気配が全く無いトモに舌打ちをかまし、ソファに寝そべり、目を閉じた


「ヨシ!決めた!」


寝たと思ったトモが急に声を張り上げる。
突然の大声に一方通行は眉を吊り上げて片目を薄く開いた


「次の家が見つかるまでココに住む事になりました」

「ナニ勝手に決定事項になってンだ」


すっ飛んだ発言を冷静に聞き返す。
それから一人でベラベラと何かを言っているが無視

彼は思った
トモの家が荒らされた原因は自分にあるのじゃないかと

上条当麻に負けたあの日から、襲撃を良く受けるようになった
前からちらほらあったが最近は特に増えた。

そんな中、一方通行は仮説を立てた
襲撃する部屋を間違えたんじゃないかと…


「他当たった方が安全じゃねェンかよ」


つまらなそうにトモに聞こえるかどうかの呟きを溜め息と共に零した。

当たり前の様にいつの間にか隣に居るトモ
家は隣な訳なので当然一緒に帰れば家に着くまでは同じ道を歩く
間違え無い事もない…


「大丈夫!いざとなれば何でも透かしてやり過ごすから」

「聞こえてンのか」

「アクセラも反射があるもんね、やっぱりイイコンビになれるよー!」


そう言ってベッドに横になっているトモは、親指を立てて一方通行に向かって笑顔で突き出した

もっと泣き喚いても良さそうな状況だが、そんな素振りは最初に見たきりで今はすこぶるプラス思考。

やっぱりただのバカだ…
と、一方通行は思った


「勝手にしろ」

「やった〜!まずは卵かけご飯用のお茶碗を買いにから始めないとね」


全く、とんでも無い奴に懐かれたモンだと今更ながらに思う
寝ると言いながらもまだ忙しなく喋っているし…


「やっぱり漫画やドラマ展開ってこう言う事を言うんだね〜!」


またそれかよ…
芳川が言っていたが、トモは姿の無かった八年間暇なので漫画を読みあさり、ドラマばかり見ていたらしい

下らない知識は全てそこから得ているとか


「あぁ!思い出した!」

「次から次へと口数の減らねェヤロォだなァ」

「当麻のお見舞いだ!」


此処へ来て、漸く忘れていた事を思い出した。
そんなトモに溜め息を零した一方通行

そうして夜は更けて行った


何事もプラスに
(ヨシ!明日行こう!)
(うっせェから、早く寝ろ)
(ハイ、おやすみレータ〜)
(なンか気に障ンぞ…)



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