Comes Up

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今頃ツインテールの少女達はそれぞれの想いを抱え、ある一つの残骸の為に奮闘している頃だろう

そんな事も知ってか知らずか…
真っ白な髪の毛が印象的な学園都市最強の能力者
御坂美琴のDNAから作られた妹達最終個体のアホ毛幼女
能力暴走中の為に現在透明人間なボケ少女

只今、三人仲良く入浴中


「ばしゃばしゃばしゃばしゃ〜ってミサカはミサカはばた足をしてみる」

「ばしゃばしゃばしゃばしゃ〜ってトモさんもミサカ同様にばた足ちゅー」

「小っこい体を有効利用した屋内レジャーかもってミサカはミサカは新たな可能性を提示してみたり」

「体透けてるから浴槽からはみ出てもばた足出来るもんね〜私も新たな可能性が切り開けたのさッ!」


浴槽から飛び出す二人分の水しぶき
嫌でも顔にかかってしまうのは、当然なワケで…


「チィッ、お湯が顔に…!オマエ自由自在に動き回ってンな!そこのオマエも無駄な可能性見つけてンじゃねェよ!」


髪を洗いながら一方通行は怒鳴る
最強様もさすがに風呂場までは反射を使わない
まあ、今の状態が状態だけにこんな所でバッテリーの無駄使いはしない話だが


「反射が使えないって不便だねってミサカはミサカは気の毒そうな視線を向けてみたり」

「シャンプーが目に入って涙ぐむ最強なんて貴重すぎて可愛すぎるよレータ!」

「別に反射が全く使えねェって訳じゃねェ。まァオマエ等のネットワーク借りて演算処理してっからデカい口は叩けねェけどよォ」


八月三十一日以降、一方通行は脳を損傷し自力での演算が出来なくなっている
妹達のネットワークを借りて一五分だけ最強になれると言うのが今の一方通行だ

ただいくら普段はデフォを反射に設定していたとは言え、風呂場なんぞで反射をしていては風呂場のお湯は勿体なくて仕方がない
全部弾き飛ばしてしまうのだから

いくら一方通行でも、風呂に入っているのにそんな馬鹿な事はしない
何のために風呂に入っているのか分からない事など


「あとな、別に涙ぐンでねェし痛くもねェよ。まァシャンプーが目に入ンのはこれが初めてだけどよォ…!」


そんな風に思われるのは、きっとプライドが許さないのだろうか?
ニヤニヤと見てくる打ち止めときっとニヤツいている筈のトモに口を止めることなく否定しつつも目を押さえる

ばしゃばしゃとばた足お風呂を楽しむ打ち止めを鬱陶しく思いながら蛇口をひねり出て来たシャワーで髪を洗い流す


「あン?なンだってこのシャンプーはなかなか泡が落ちねェンだっつゥの」


先ほどからわしゃわしゃとやっているのだが、全く洗い流されている気がしない
それ所か泡の量が増している気さえしてくる


「もっとしっかり流さなくちゃダメだよってミサカはミサカは…ぷッ……応援してみたり」

「…ぷッ?」


浴槽に体重をかけながら一方通行に向き直りばた足をする打ち止めの視線が一瞬上を向いた
それを見逃さず、そして吹き出した打ち止めも聞き逃さず一方通行は眉をしかめる

シャワーから離れ頭上を見上げた一方通行は見た


「…オイ」

「あっ!バレた〜?」


容器ごと浮くシャンプーが頭上に居ることに…


「やっと気付いたのねってミサカはミサカはコントのようなやり取りに笑いを堪えるのが必死だったって……笑って、み、たり」

「クソケツがァアア!!テメェが無駄使いしたシャンプーのおかげで随分と洗わされただろォがァッ!」


打ち止めはトモの悪戯を知っていたので笑いを堪えるのが必死だった

いくら洗い流しても泡が落ちないはずだ。
何たって透明人間を有効活用し、気配もさせずに一方通行の後ろでずっとシャンプーのポンプを押し続けていたのだから

ある意味トモにしか出来ないイタズラだ…


「ばしゃばしゃばしゃばしゃ」

「ほーれ、もっとちゃんと洗って〜!」


激しいばた足を再開させた打ち止め
ポンプを激しく押し上からシャンプーを降らすトモ


「ヨミカワァああああ!!何でこの俺がクソガキ共のバタ足とシャンプー攻撃なンざ食らわなきゃなンねェンだよォオオ!!」


そして一方通行は爆発する。

会話が振られた黄泉川は、眉を上げて反応する


「ダメじゃーん。小さい子供は溺れる危険があるから誰かが監督してあげないと危ないじゃんよ」

「クソ透明人間は例外だろォがァ!」

「ダメじゃーん。能力暴走中の子供は見失う危険があるから誰かが監督してあげないと危ないじゃんよ」

「既に見失ってンだろォが!つゥかオマエが監督すればイイだろォがよォ!」


色々言ってるがつまりは、


「ダメじゃーん。そんな暴れん坊二人の相手をしてたら黄泉川さんが濡れ濡れの透け透けににっちゃうじゃんよ。ってか、ようやくお風呂に入れるようになったんだからしっかり体洗っとけ」


これが黄泉川の本音だろう。

湯気の立ちこめるぬくぬくとした浴室で一方通行は沸騰する


「くそったれが…!どォして俺の周りにはまともな思考回路を持った人間がいねェンだっつの」

「まぁまぁまぁまぁ、落ち着いてってミサカはミサカはなだめてみたり」

「あんまり沸騰するとのぼせるってね〜!」

「気恥ずかしいのは分かるけどミサカはちゃんとバスタオルを装着してるんだから」

「トモさんなんて既に透け透けの透明人間で何も見えないんだから」

「あんまり気にしてると逆にキツいぞってミサカはミサカは人生の先輩としてアドバイスを贈ってみる」

「そーそー!私のヌーディーな姿を想像して鼻血ブーなんてしちゃダメだよってトモさんもアドバイスを贈ってあげるのさッ!」


散々な言われように一方通行も苦笑いしか出て来ない

全く減らず口な二人だ
打ち止めとトモが揃うと面倒なことほどない


「ありがとよォ。お礼に顔面へダイレクトシャワーを贈ってやンよ」

「ぶわーっ!?ってミサカはミサカは突然の攻撃にひっくり返ってみたり」

「そこのスケスケも暴走が解けた暁にはダイレクトシャンプー贈ってやっから覚えてろ」

「いやーん!ちょっと楽しそうだけど容赦ないレータが想像出来て戻りたくないかも」


浴槽でひっくり返る打ち止めの隣に移動したトモは胸の前で手を組み想像に肩をブルッと震わせた
ばっさーんと打ち止めの水しぶきの二次災害に遭うも今のトモには全くの無意味だ

ひっくり返った打ち止めは起き上がって言う


「ひどいよ!?夏の終わりにはミサカのために体張って立ち上がってくれたのにってミサカはミサカは青ざめてみたり」

「あの時のレータは思い出すだけで目頭がジーンと…!」

「はァ?…って、ちょっと待てコラ」


何を言い出すんだこのガキ共は…?
何だかとんでもないことを思い出されているのは、気のせいでは無い筈だ


「ウィルスコードにやられかけた時はあんなに優しかったのにこの扱いははなんなのミサカもしかして飽きられてる!?ってミサカはミサカは戦慄の可能性にぶるぶる震えてみたり!」

「撃たれそうになった時に私を直進で助けに来てくれたレータはドコに行ったのさ!?覆い被さってくれた王子様は幻だったの!?トモちゃんを見捨てないでー!」

「…あ?オマエ等、今なンつった…?」

「はっ!しまったってミサカはミサカはお口に片手を当ててみたり」

「空耳ソラミミ〜!透明人間トモはただいま存在しませーん!」


散々言いふらしておいて白を切っても遅過ぎる


「しまっただ空耳だじゃねェよどォ言う事だオイ!何でオマエ等があの日の事覚えてンだ!?」


一方通行は取り乱す
あの日あの時、覚えられていてはこっぱずかしくなる様な言動を結構やらかしているだけに一方通行は声を張り上げる

ウィルスコードに侵されて記憶を全て失っている筈の打ち止め
出血多量で意識を失っていたトモ

何がどうなって二人はあの日の事を知っているのか?
その答えはある個体達によるものだった





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