Comes Up

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10032号から20000号が織り成すネットワークの中で記憶を共有できる妹達。


「簡単に言うとミサカ単体の記憶はないけどバックアップをすれば問題ないかもってミサカはミサカは可愛らしくペロッと舌を出してみたり」


そう言うわけで打ち止めをあの日の出来事を全て知っている


「ナルホド!だからミサカちゃんが知ってたってコトね!私もミサカちゃんから全部聞いたから一方通行の勇姿はしっかりとバックアップ済みさッ」


10032号から教えてもらったトモももちろん知っている


「じゃ…ナニか?オマエ等はあの日俺が何を叫んだか…」

「『このガキが、見殺しにされて良いって理由にはなンねェだろうが。俺達がクズって事が、このガキが抱えてるモンを踏みにじっても良い理由になるはずがねェだろうが!』…じーんってミサカはミサカは思いだし泣きしてみる」

「『コイツだってなァ、確かに俺と似たような境遇に居たかもしンねェが、見りゃ分かンだろうが。テメェのエゴで断りも無しに勝手に闇に引きずり込もうとしようなンざ、ふざけンじゃねェ!』…涙ちょちょ切れモンさッ!ちゃんとレータに断り入れるからね…!」


感覚的にトモの位置を把握した打ち止めトモに向き直り、あの日の一方通行を二人して思い出し浸りながら抱き合う
涙が止まらないよね〜等と言いながら


「こ、殺す!このガキ共ぶっ殺す…ッ!」

「ダメじゃーん。知り合いに任されてるんだから手間かけさせるなよー?」


照れ隠しかはたまた本気で言ってるのか。
そんな一方通行を扉に背中を預けている黄泉川はすかさず止めに入る

中の様子は分からないが、ばしゃばしゃとお湯の掛け合いを聞きながらカエルの医者に言われた事を思い出す
気難しそうな三人組だね?と言われていたが、別段気にかかる点も見当たらない

この調子なら無理に付き添っている必要も無さそうだ
気にせず、本来の仕事へ戻れる
ため息を吐き背中を離した黄泉川は、


「お三方へ伝言じゃん。ちょっくらお姉さんは警備員の仕事に行って来るから仲良く待ってるように。いい子にしてたらお土産持ってきてやろうじゃん」


はーい!と言う二人の声が浴室から響いた返事が返ってくる
ばしゃばしゃとお湯が飛び散る音とそれに合わせて発狂する一方通行の叫びを最後に黄泉川はその場を後にした

黄泉川が居なくなった後、三人は湯船のお湯をしこたま減らした所で停戦協定を結んでいた


「クソったれが。ヒザ上までしかお湯が残ってねェぞ…」

「もはやばた足すら出来ないかもってミサカはミサカはそれでも工夫次第でどうにかならないかと首を捻ってみたり」

「こう言うときこそ浴槽から飛び出して寝ころびながらってね〜!まだまだトモさんのバタ足は健在です!」


お湯が半分程しか残っていないにも拘わらず頑張る二人にそろそろ疲れてくる


「もォバタ足止めろ。っつかオマエ等は俺が怪我人だっての忘れてねェか!?」

「うん!素敵に忘れてる!だって怪我人には見えないもんね」

「髪の毛を素早く伸ばしたのが間違いだったねってミサカはミサカは人体の神秘目をにキラキラさせてみたり」


体内の組織に伝える電気信号のベクトル面から再生を促し一方通行にしか出来ない反則技で驚異的な速さで髪の毛が伸びた彼は普通に見れば何処も怪我をしているようには見えない

だが、


「っつっても頭蓋骨の亀裂までは修復できてねンだっつの!」


外見は元気でも内面はまだまだ重症患者。
そう言われても手加減する筈もないので、ばしゃばしゃと再び暴れ出すのを顰めっ面で見る


「黄泉川にバレたら怖いねこのお湯の量は〜!ミサカとレータ、頑張って私の分も怒られてね」

「さっさと姿を現せボケケツがァッ」


他人ごとのように言うトモは現在打ち止めと一方通行の間で体育座り中だ


「でもヨミカワは今日はもう病院には戻ってこないかもってミサカはちょっと楽観視してみたり」

「あァ?オマエ何か聞いてンのかよ?」

「んーとね、ヨミカワの方からじゃなくてねってミサカはミサカは―――」


一波乱去ってまた波乱の予感。
嵐は突然やって来るものだ



バタ足注意報!
(じゃあ黄泉川からのお土産は明日になるのかあ。ってコトは今日もトモちゃん特製のたまごパーティーだね!)
(そりゃオマエが食いたいだけだろォが。つか、バタ足再開させてンじゃねェ!)
(ミサカはね、ゆでたまごとやらを食べてみたい!ってミサカはミサカは希望を述べてみたり)
(オマエもバタ足…!クソが、マジで俺の周りは誰も人の話を聞かねェ)


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