Comes Up

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一夜空けて翌日。
とある病院のベンチには、頬に真っ赤な手形と後頭部に噛みつき跡をくっきり残した上条当麻は、いつものラッキー不幸について叫ぶ


「…不幸だ。ただでさえ日常的に不幸な上条さんに不幸フィーバーがやってきましたよ!今なら怒濤の九連不幸とかやってきても驚かねーぞ神様!!」


色々あり、様々な人からボコボコにされた不幸少年。

その隣で自販機の当たりルーレットに興味を引かれつつ呆れた様な声を出すインデックスが立っていた


「結局とうまは、『それなら、今から残りの半分を果たしに行こう』とか格好良さげな台詞を吐いておきながらあの後何の収穫もなかったんだね…」


残骸を巡って始まった今回の一件。

元を正せば、御坂美琴の後輩にあたる白井黒子が身体に貫通傷をいくつも負って戦い。
ミサカネットワーク経由で受信した妹達の10032号の御坂妹が上条当麻に助けを求め。
命懸けで止めた実験が再開の危機、そして後輩を苦しめた犯人を止める為に御坂美琴が立ちはだかる

様々な経由を通り最終的には、


「うっ…。いや白井に教えてもらった予測ルートは辿ってみたさ」


痛い所を突かれた当麻は言う。
街の一角の窓ガラスは全部粉々
キャリーケースっぽい残骸が散らばっててて‘中身’らしきものが木っ端微塵
屋上にはボッコボコにされた女の子が突き刺さってて―――


「どこの誰がやったか知らないけどありがとうって感じだぞ」

「とうま、とうま。普段はあまり使わない日本語で言うね。この役立たず」

「いえーい!言われると思ったよちくしょう!っつかどこのどいつだ勝手に人の獲物を横取りして何も言わずに立ち去って行くなんてよぉ!一体どこまでお馬鹿に格好つければ気が済むってんだ!」

「…正直、とうまみたいなのは一人いれば十分だと思うかも」


実際の話、最後を持って行ったのは同じ病院に居るどこかの学園都市の最強様だとは当然、知る由もない

事後を見た当麻は無駄に格好を付けることしか出来なかった


「イェーイ!良かったね、何事も無事に終わって〜」

「…ん?」


負け犬の遠吠えらしき叫びをする当麻に被せるイェーイ!が乱入。

不意に入った声に二人はピタリと止まった


「一時はどーなるコトかと思ったけどー!ってか会わなかったけど当麻も居たんだね」


私も背中に張り付いて居たのさッ!と、言う声を当麻とインデックスは拾った

誰が、何処で喋っているんだ?と言う疑問符が二人に浮かぶ

だが二人は知っている。
この人物は、


「トモ…か?」

「はいトモー!当麻にインデックス、ちょっと久しぶりー」


確認をとるように恐る恐る聞く当麻にトモの元気な返事が返ってくる


「どこにいるの?」

「インデックスのお隣に立ってんだけどね〜」

「え?影すらもないんだよ」


隣に居ると言われ左右をキョロキョロしてもトモらしき姿もない
居るのは前のベンチに座る当麻だけだ

当麻とインデックスは顔を見合わせて疑問符を浮かべる
まあこれが当然の反応だろう


「ちょっと訳ありで只今透明人間なのです」


と、分かる人にしか分からない説明をする


「なんだそれ?どこだ、ココにいんのか?」


ヒラヒラとインデックスの隣辺りで右手を振るった当麻は触ったのだ


「あーーー!」


パリンッ!と言う割れた様な音が廊下に少し響き、トモは驚きと嬉しさに声をあげる

その隣でインデックスが驚きと怒りに震えている


「アンタッ…!?」

「わいせつ罪で訴えられたいのですの?」


そろそろ病室に居れてあげようとやって来た美琴は今ある光景に怒りでブルブルと震える
目を伏せて呆れかえる黒子はため息を吐く


「いや…俺は無実だ…!これは何かの間違いで、」


その右手で何かを打ち消したらしい上条当麻は冷や汗をダラダラと流す
何故に突然トモが姿を現したんだと…
何故にこのタイミングでトモの胸に触れてしまっているんだと…


「当麻の魔法の右手すごーい!こんな簡単に元に戻れるなんてー」

「やっぱりトモは女神様だよな。この状況でそんな台詞をかましてくれるのはトモ様だけだよ…」


自分ではどうにも出来なかった暴走した能力

当麻の右手。
異能の力は何でも打ち消す


「大変!二人に報告しに行かなきゃ〜」


状況に全くついていけてない当麻は、知らぬの内にトモの能力をその右手で打ち消していた

トモにとっては嬉しすぎる出来事だ
こんなにもあっさりと解除されたのだから


「ありがと当麻!インデックス早くたまごかけ食べに家においでね〜!早くケーキ食べに行こう美琴ちゃん!ツインテールお姉さんお大事に!」


興奮から一気に喋ったトモは、当麻に胸を触られているなんてこれっぽっちも気にせずに、


「じゃ、行って来ます!」


手を振って嵐のように去って行った

取り残された四人は、一瞬唖然とする
ただ当麻の不幸フィーバーは継続中だ


「今日はよく当たるな…ここでまた引き戻すっつー事は今日の上条さんはかなりツいてるみてーだぞ」


後に当麻は歯形と手形と電気マッサージの3コンボを受ける事になる


「不幸だァアアアア!!」





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