Comes Up

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「ミサカの要望はね甘いのってミサカはミサカは意見を述べてみる」

「気が合うね〜!同じく甘いのに一票!」


人混みなど一切眼中に入れず一点だけ瞳をキラキラと輝かせ見つめる


「あのお店はチーズケーキがオススメよ、ミサカさん!」

「やっとケーキを食べに行く約束が果たせるんだねってミサカはミサカはチーズケーキの単語に涎をタラリ」


右も左も人ひとヒト…
普段は学生で占める学園都市も、毎年ある期間だけは外から来る保護者、学生だけでなく大人と言った、取り敢えず沢山の人でごった返す

最初は人の多さに目をグルグルさせていた訳だが、今はそんな事どうでもいい
目の前にそびえ立つ、二人にはキラキラと輝いて見える喫茶店でいっぱいだ


「チーズケーキが呼んでるぜ!レッツゴー!」

「突撃〜!ってミサカはミサカはトモの後に続いてみるー!」


うわあ〜い!と、手を振り勢い良く目の前の喫茶店に走り込む


「つーか何ですかァ?ゴミの多さに暑っ苦しいったらねェなァ」


外出する事自体が面倒な一方通行は、逆に喫茶店になど目もくれず人の多さにげんなりとする


「あれれ〜?前に進めないーってミサカはミサカは間違った杖の使い方に憤慨してみる」

「空いてる手は私ってね〜!?ちょっとその腕は一応負傷してるから痛いんですけどー」


一方通行の独り言をかき消す声が上から二つ被さる
足はしっかりと右に左に動いているのだが、前に進まない


「ンでゴミみてェなガキ共のお守りたァ俺もオチたもンだぜ」

「「ゴミって言うなー!!」」


ハァっとため息を零した所で先を行くトモと打ち止めは勢い良く振り返り反論する

このまま二人を走らせれば、予測できることが二つある

一つ。
豪快にスッテンと転ぶ
二つ。
人混みに紛れて迷子になる

そうなる前に手を打つのが一番だ


「レータ!大覇星祭と言う素晴らしいイベントなんだから、まずはあのお店のチーズケーキを食べに行かなくちゃダメなんだから〜」

「そーだそーだー!ってミサカはミサカは理不尽なミサカの扱いに嘆きつつトモに同意してみたり」


大覇星祭なんて名ばかりで結局はチーズケーキが食べたいだけなのだ
最初は外出許可が降りたことに喜び運動会だ〜と無駄にハシャいでいた

二人揃うと面倒だ、と最近は心底思うようになった彼だが、何だかんだ思いつつ一緒に出て来る所は彼なりの優しさなんだろう

取り敢えず、走らせても面倒な二人が迷子になる前に取り押さえる


「甘ったりィ店なンざ却下だ」


右手で着く杖で打ち止めの首根っこを引っ掛け、空いた左手でトモの治りかけの腕を掴む

誰が女だらけのまともなご飯にもありつけそうにない店になんか入るものか…


「ミサカッ!」

「オッケートモッ!ってミサカはミサカはえーい!」


えーい!の合図でバサリと倒れる音が後ろから聞こえる
自由になった身体を反転させてニヒヒと意地の悪い笑みを此方に向けていると言う事は何となく分かる


「ちゃーんとトモさんがレータをおぶって目的地に運んであげるからね〜」

「早く行こう!ってミサカはミサカは演算剥奪中のあなたにニンマリしながら言ってみたり」


素敵に有効活用した打ち止めだけが出来る一方通行の演算剥奪。
頭が回転しない中で目の前にしゃがみ込んで居るトモと打ち止めの何とも憎たらしい笑みは腹が立つと、本能的に思った


「ヤバいヤバい…レータが怖いよミサカ」

「演算復活した時のお仕置きが想像つかないってミサカはミサカは後ずさってみる」


余裕顔をしていられるのも今だけ
すぐさま笑顔から引きつった笑みに変わった二人は冷や汗を流しながら後ろへゆっくりと下がる

何たって動けない筈の一方通行がゴキ○リかの様に地面を張っているのだから


「喫茶店へ逃げるが勝ちー!」


きゃあー!っとその場から走り去った二人
少し時間を置き、一方通行の演算能力を戻した所で、


「クソガキィイイイ!!!」


一方通行の怒声が飛んだのは言うまでもない。


祭りだワッショイ!
(ナニがワッショイだ、アァ!?)



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