LOG置き場!

□あと10分!
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「眠たいね」

「眠ィな」


とあるベンチにて。
暖かい日が差し動く気も無くなる
こんな日には眠気がより一層襲ってくる

暗い場所…
暗部に身を置いていようが太陽はいつでも一緒
誰でも暖かく見守ってくれる日差しが心地良い


「もうすぐ春ですよ」

「そォだなァ」

「お花見の季節ですよ」

「突っ立った木なンざ見てどォすンだ」

「桜を囲んでみんなでたまごかけ食べよーのお花見さ」

「テメェだけでやってろ」


特に何をする事もなくダランと身体を投げ出しダレる
横切る風も冷たくは無く風さえも暖かい


「奇跡的に会話成立してるよ私ら」

「オマエがボケた発言してねェからな」

「たまにはいいよね〜ポカポカ日より」

「…たまにねェ」


ゆっくりな時間を過ごすのもたまには悪くない
日差しの所為か目を細めるトモはポフっと音を立てて一方通行の肩に頭を乗せ寄りかかった
それを気にする事無く振り落としもしないのは、身体がダラケているからに違いない


「ねむ…」

「コラ寝ンな」

「まだ寝てないよー」

「しっかしねみィなァ」

「私が起こしてあげるから安心しておやすみー」

「しねェ」


ボケッとし必死で眠たい目を開く
隣でダレるトモは既に寝そうだ

いつしか二人の会話の中には眠いとしか発されなくなった


――――


「有り得ないにゃー」

「有り得ないわ」

「有り得ませんね」


声を揃えて覗き込む

今日は暖かい
こんな天気の良い日には眠たくもなるだろうが…


「良くもまぁ寝れるわね?」

「清々しい程、気持ち良く熟睡されてますね」

「仮にもまだ仕事中だにゃー」


二つに分かれて行動をしていたグループ
待ち合わせ場所に到着すれば、先に来ていた一方通行とトモはベンチに座り爆睡中。

仕事中に寝出すなんてどうなんだ…
しかもベンチなんぞで


「一方通行さんが普通に寝てると何だか面白いですね」

「トモに寄り添ってる所がポイントだぜい」

「で、いつ起きるのかしら?」


気持ちよさそうに眠る二人を覗き込む様に見る
トモが一方通行の肩にもたれ掛かり、トモの頭の上にちょこんと頭を乗せる一方通行の何とも微笑ましい光景

どうでもいいが、こんな間近で喋っているにも拘わらずビクともしない二人に呆れる三人
だが、トモはともかく一方通行を起こすとなると色々面倒で起こすに起こせなかったり…

すると、ピクリと反応した一方通行が片目を薄く開いた


「……オマエ等、」

「やっと起きたかにゃー?」

「おはようございます、一方通行さん」

「何やってんのよ?」


さっきまでは居なかった三人を目を細めて見る
寝ぼけているのか、一方通行は片目を開いたまま止まる
口々に喋る三人をボーッと見てから、


「十分後起こせ」


そう告げてから瞳を完全に閉じもう一眠りに入る
この期に及んでまだ寝るつもりの一方通行に口をポカンと開けた土御門に海原と結標

それに反応してなのか隣のトモもゴソゴソとし出し、コッチは起きるのか?とそちらに視線をやった


「あっ…」


一言低く発したトモは、一方通行同様に片目を開き眩しそうに三人を見た


「起きろトモ!そして一方通行を起こすにゃー」

「おはようございます、トモさん」

「呑気に寝てんじゃないわよ」


片一方を起こせばなんとかなるだろうと思い、必死で声を掛ける
聞いているのかいないのか、トモはボケッと三人を見てニヘラと笑って、


「あと10分待って〜」


そう言い残し寝息を立てて寝出す。
肌寒いのか一方通行に身体を寄せる


そうして、一方通行とトモは数分前の体勢へと戻った


「有り得ないにゃー」

「有り得ないわ」

「有り得ませんね」


それと同時に三人も数分前と同じ言葉を残した
十分後、さあ何をして起こしてやろうか…
口端を上げた三人に見守られて二人はスヤスヤと眠りにつく


春はもう直ぐ側まで近付いている昼下がりのお話。



あと10分!
(顔に落書きってのはどうかにゃー?)
(起きたら海の中ってのも悪くないと思うけど)
(二人の皮膚剥がしちゃいましょうか)
(…今起きた!)
(…フツゥに起こせ)

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