監獄

□○○○○ごっこ
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「カンシュクン、遊ぼ?」
「え、何いきなり」
「ボクさ、正直言って処刑無い日はヒマなの」
「遊ぼっていわれても…、何するつもりですか」
「敬語イヤ。キミとボクの仲じゃん?仲良くシてよォ」
「…同期なだけじゃん。それに、アンタのが年上だしさ」
「でも、トモダチでしょ?」
「恋人っす」
「…そうだっけネ?」
「また忘れてたの?何度目だよ…これで」
「分かんない」
「ったく…、処刑する度にこういう記憶飛ばしちゃうんじゃ、仕方が無いだろ?」
「エクスタシーってヤツだヨ。気持ちヨ過ぎて、頭真っ白きなっちゃうの」
「絶頂って、あの絶頂?」
「さすがに出しちゃったりはしないけどネ」
「そりゃそうだろ」


彼曰く、扉に浴びる返り血と、その生臭さが堪らないらしい。(何が良いんだかさっぱり分からん。)

先程遊びに誘われたが、これも処刑が無い日の恒例。

何をするかは気紛れな彼次第ってわけだ。

前回は大量の血糊を作ったが、味付けが良かったから二人で残さず食った。

その前は、普通にテレビゲームをした。

もっと前、いつだったか、女装させられた事もあった。


「で、今回は何すんの?」
「遊んでくれるの!」
「遊んであげなかった事は無いだろ」
「わぁ、嬉しい!カンシュクン大好き!」
「はいはい、」

この『大好き』の意味が、イマイチ掴めない。

恋人だから『恋愛感情』か。

はたまた、気持ちが高ぶった故の『無意識』か。

前者なら俺は、きっと彼を抱き締めて、『俺も大好きだ』と囁くだろう。

後者なら、恋人としての自覚をさせるために彼に『好き同士なら、何しても良いよな』と言って口付けをするだろう。

どちらに転がっても、俺がショケイスキーにする事は大差無い。

しかし、

「カンシュクン、ちゅー」
「今?」
「ねだってるんだから、早くシて!」
「…。」

彼にとっては単なる甘えなのかも知れないが、俺的にはキスをねだられるのが一番恥ずかしい。

自分からするより照れる。

けれども、応じなくて嫌われるのはもっと質が悪い。

「…じゃあ、目閉じてて」
「ン、」

ちゅ。

と、わざとリップ音を立ててキスを交わせば、彼の醸し出す甘い空気にあっさりと飲み込まれそうになる。

「フフ、カンシュクン顔赤いヨ?」
「だッ…誰のせいだと…」
「ボク!」
「……うん、正解」
「景品は?」
「じゃあ、もう一回キス追加するよ」
「やったぁ!」

今度は、先程よりも深く。

舌を絡めるのも慣れてきて、お互いに食らい合うように口付ける。

唇を離した時に、唾液が糸を引くのが好きだ。

「…ふあ、カンシュクン」
「ン、何?」
「もっと…」
「…ダメ、」
「え…なんでェ?」
「まだ昼前だし、俺午後は囚人共のシャワーの時間に行かなきゃいけないんだよ」
「…ヒドいヨ……」

泣きそうになる彼に驚きながら、なんとか優しい言葉を探す。

「俺だって、もっとキスしたいし、その先までシたいよ」
「…本当?」
「本当だよ、ショケイスキー、」
「っ…!やっと名前呼んでくれた!」
「え。…あぁ、そうだな」
「カンシュクン…、ボク、今ホントに嬉しい」
「じゃあ、もっと呼んであげようか?ショケイスキー、」
「アァ、もう…ゾクゾクしちゃう!」
「俺の事も呼んで?」
「カンシュ…クン」
「違う」
「カ…カンシュコフ…」
「そう、イイ子」
「…ねぇ、カンシュコフ、」
「ん?」
「何して遊ぶか、今決めたヨ」
「へぇ、何する?」




『○○○○ごっこ』


(え、襲い受けごっこ?)
(ボクがカンシュコフを襲うから、逆にボクを襲って欲しいノ)
(さっきシないって…)
(言ってない。むしろシたいって言ってたヨ!)
(……。)









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