携帯獣

□ティアドロップ
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「ノボリ…っ、それ、ダメぇ…ッ!」
「おや、此処がお好きなようですね、クダリ?」
「ひ、違っ、あんッ!」

色白で薄い胸板を強調するように尖った乳首を指で摘んで転がす。

執拗に攻めてやりながら耳朶に噛み付くと、震えながら素直に悦ぶ身体に笑みを零し、額に口付けをする。

「あっ、ア…ッ!」
「どうかしましたか?」
「ちゅー、は…口にして…」
「…仰せの侭に、」

唇を重ねて、相手の下唇に噛み付く。
その感度の良さに、身体にゾクゾクと快感が走る。

「痛っ、ふぁ…、はぁ…ン」
「…淫乱」
「ノボリが…っ、こんな、するからぁ!」
「クダリが求めるからでしょう?」
「ン、ンッ…、乳首ばっか、やぁあ!」
「では、どこが好きですか」
「…ッ、痛っ、ッあぁ!」

わざと、温い前儀をしていたつもりが。いつの間にか本気で攻めていたらしく、攻め過ぎた乳首はうっすらと血が滲んでいた。

「…あ」
「もうやだ…ノボリ、痛い事しかしてくれない…」
「そんなつもりでは…!」
「嘘っ!嘘だぁ!もうヤりたくない!キライ!」
「…ッ」
「ふ…っ、ぐすっ、ノボリ…なんか、キライ、なんっ、だからぁ…」
「クダリ…」

本気で泣き出す彼に、優しい言葉をかけたいのに、優しく抱き締めてやりたいのに、戸惑いからか唇も腕も動かすことができない。

「クダリ…、」
「ふっ、うぅ…、ひっ、く」
「クダリ、ごめんなさい」
「うぅんっ、僕も、ごめ…なさっ!」
「…クダリが謝る事は無いのです。私が悪かったのですよ」
「違っ、あの…あのね、キライ…て言って、ごめん…なさい…!」
「…!」
「僕っ、ノボリ…好きだから、だからぁ!嫌いに…なんないで…!」

涙を擦ったせいで赤くなった頬が、彼の可愛らしさをこれでもかと強調した。

「貴方という人は…。私がクダリを嫌うはずないでしょう?」
「でも…っ」
「私を信じてはいただけませんか?」
「…信じてる、う、うぅっ!ノボリぃッ!」
「泣かないでくださいまし、貴方は笑顔が一番です」

ほんの一瞬、唇を重ねると、彼はまた顔を歪めた。

「うっ、う…うあぁああああんっ、うあーあーあー!」
「そ、そんなに泣くほど嫌だったのですか?」
「ノボリのばかぁあぁぁぁ!」
「…す…すみませ」
「ノボリなんか、ノボリなんか!大好きだよぉぉ!」
「!…ええ、私も大好きですよ、クダリ」
「うぅ、ぐすっ、僕、も…痛いの、やだよ?」
「分かりました、優しくします」
「約束、ね?」
「はい、約束です」

小指を絡ませて、約束。

「…じゃあ、続きしていいよ…」
「いいえ、今回は止めにしましょう」
「なんで…」
「無意識に傷口を弄ったりしたら、大変ですから」
「…あうう」
「せめて消毒くらいしましょうか。傷薬と私の唾、どちらがいいですか?」
「…唾、がイイ」
「それでは、遠慮なく…」

舌なめずりをしたへの字口が、妙にいやらしく見えて、身体が熱く強張った。

囓られた下唇に口付けられて、軽く吸いながら舐められ、肌が粟立つのが分かる。

目を瞑っていなかったので、自分と同じ顔が零距離にある。という光景にも、脳にじわじわと興奮が広がる。


離れたはずの唇が熱い。
そこから痺れて、何も考えたくなくなる。

色白の肌を滑る唇。
くすぐったさよりもむしろ、快楽の方が大きかった。

血の滲む乳首を舐められた刹那、痛さと気持ちよさが絡まり、声が押さえきれそうになくて。


「…は…っ」
「痛くないですか?」
「ん…あっ、ア…」
「気持ち良いですか?」
「ふ、ンぅ…ッ」
「…クダリ?」

いつまでも喘ぐ彼を不思議に思い問い掛けると、彼は自分で自身を弄っていた。

最後までしないと言ったから、自分で処理しようとしているのだろうが、これではお預けを食らったようなものだ。

先程の言葉を撤回するべきか、それは自分では決められなかった。

「…クダリ、」
「ふあ…っ!」
「?…クダリ、クダリ」
「あっ…ア、アッ!」
「達しそうなのですね、手伝いましょうか?」
「ン、…うん、ノボ、リ…してぇ…!」
「はい、では失礼しますよ」

彼の自身を握る手を退けて、亀頭を口に含む。

口内で舌を絡めて、先端を念入りに攻め、歯を当てないように食み進める。

「ひッ!あ、あ、アッ…!」
「…ン、ふ…、イイですか?クダリ、」
「う…あッ、のぼりぃ…、ぼく…も…っ」
「どうぞ、達してくださいまし」

咥えたクダリ自身をキツく吸い上げ、残滓も全て搾り出すようにストロークを長くする。



どくん。


クダリの自身は大きく脈打つと、その精を爆発させるように達した。

「ア、ー――ッ!」
「…ンぶ…っ」

どくどくと喉の奥に流れ込む熱いそれを、味わうように、ごくり。と音を立てて飲み込む。


久々に受け止めた精液。
苦さよりも甘さが強い気がしたのは、きっと気のせいである。



『ティアドロップ』

(きっと彼の涙も甘い)
(きっとキミの言葉、甘い)






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