駄文入れ場
□Grief Moon -Alley Walk-
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「助けてって・・・」
俺ことアスラン・ザラの一日はときたまに最悪だ。
最悪の内容としては、仕事依頼メールの中に、ウイルスが紛れ込んでいて、処理に追われなければならなかったり、裏路地を歩いているときに横道に連れ込まれ、危うく貞操の危機に陥ったりと、さまざまだ。
まあ、普通の日は起きて、仕事である情報収集をして、大元締のやつがうるさいから通っている夜間学校に行って、帰ってきて、たまっている依頼文を読み、取捨選択して、返事メールを送り、寝るという生活を送っているのだが、この日はどこか違っていた。
夜間学校から帰ってくるまでは、いつも通りだったのだが・・・
「はぁ・・・」
慣れたとは言っても、学校という多くの人が集まる場所というのは、いつのころからか苦手としていた。
小さなころにここのリーダーみたいな人に運よく拾われたころは多くの人に囲まれていたような気がするのだが、今ではクライアントと自分しか仕事でも出会うこともないためだろうか。
最近は、時々そんなことを考える。
捨てられる前に、俺にも親というものがいたはずなのだ。
そいつらと今でも一緒に住んでいたとしたら、自分はどれほど息詰まった生活を送らなければならなかったのだろうか、と。
このことを夜間学校のやつに言ったら、
「お前、それ、考える根本違うくない?」
普通は、親が自分を捨てなければ、もしかしたら違う自分になっていたのかもしれないとか考えるそうだ。
なるほど。一理ある。
「なら、もし俺が誰かと一緒に暮らしていれば、違う考え方になったかもしれないのか?」
「いや、それとこれとはまた話違うっしょ?」
わかりにくいやつだ。
いや、この場合はわかりにくい話だと言うべきか?
こんなことを授業中考えていたせいか、今日の帰り道はひどく陰鬱だった。
こんなことを真剣に考えていた自分に対してというのと、少し・・・、そう、寂しくなったのもあるのかもしれなかった。
まあ、もともとこの道はあまり明るい通りでもなかったのもあるのかもしれないが・・・
「・・・――――・・・」
家へもうすぐ着くという頃になって、何か声のようなものが聞こえた。
普段の俺なら気づきすらしないであろう小さなか細い声。
こういった通りの場合、このようなか細い声は2分の1の確立で厄介ごとが現在進行で絡んでいるため、普段の俺ならば、近づきすらしないであろう状況。
しかし、この日のアスランはどこか違っていたのだ。
アスランが我に返って、気づいたときにはその声のした方に向け歩き、さらにその声の発信源まで見えてきたころだった。
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