`
□遠い存在─麗編─
2ページ/3ページ
この男色専門の遊郭で働き、男に抱かれた。
あの時は、怖くて怖くて…
周りも何も、見る余裕なんてなく、ただ必死に相手の男を受け入れていた。
「麗…君は、ここから逃げ出したいと思わないのか?」
そう言って私の手を握る。
優しい男。
「…思わない…と言ったら、嘘になります…」
そう、逃げられるものなら、逃げ出したい。
自由に空を仰ぎたい。
「僕は、君を連れ出して逃げようと思ってしまったよ…」
「八王子様‥」
貴方の優しさが、この世界では暖かい光のようで。
私は、貴方に出会った日‥
八王子朔夜、貴方を好きになりました。
.