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□遠い存在─麗編─
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「麗さん‥?」
覗き込む大きな瞳。
可愛らしい顔立ち、綺麗な髪。
「いや、大丈夫ですよ。」
麗はそう言って、微笑む。
「それより、今日は青瑠の初舞台ですね。」
「あ…はい…」
青瑠は、少し元気をなくしたような声を出した。
「緊張…してますか?」
優しい声色で、青瑠に言ってやると、青瑠は涙を浮かべて首を縦に振った。
「…怖くて、自分が…変わりそうで…」
「大丈夫、自分を渡さなければ大丈夫ですよ…」
青瑠は私に似ている。
似ていて、昔の自分を思い出す。
私も怖かった。
でも、今は別に何とも思わない…
嫌な体だ。
「…青瑠、こんなとこに居たのか?麗まで…」
祭都と言う少年が、近づいてくる。
「どうかしましたか?」
麗が言うと、祭都は「雪爾さんが呼んでる」と言った。
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