華蓮学園高等部

□04.二つの感情
2ページ/18ページ


定期的に行われる学校集会。
その行事の前では、どちらの組の荒れ狂った奴らでさえ、おとなしい生徒になって先生方の話しを聞いている。

生徒会長の俺は、代表席といわれる席に座っている。
組のトップだとしても、代表席は生徒会のみが座る場所であり、華組艶組の生徒たちのトップだという証になっている。

なのに、なぜ。
四条はこの場所を選ばなかったんだろうか。


「桜坂さん」

小さな声で水野が話しかけてきた。
今は副理事長が話しを始めるために、マイクのあるスピーチ台へと移動をしたあたりだ。

「……何だよ」

「何もありません。ただ」

「何かあるじゃねーか」

「艶組の二年生たちに、よからぬ動きがみられるんですが」

「“革命”でもしよう、ってか」


綺麗なスーツを着こなせるほどのスラリとした長身で、それだけで絵になるような美しさを持つ男性が壇上に立てば、生徒たちは大人の魅力に魅了される。

そんな大人の美しさを持つ、若い副理事長が話しを始める。
内容は、俺たちの未来について。

そんな話しをされたって、困る。この先にある未来は、華組か艶組か、いや二年生による革命が待っているのか。
それよりも俺たちの将来だなんて。もっと分からないだろう。


副理事長の話しの間に、水野の言葉が聞こえた。いや、ぶつけられた。


「狙いは、桜坂さんの失脚です」


_
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ