華蓮学園高等部
□04.二つの感情
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定期的に行われる学校集会。
その行事の前では、どちらの組の荒れ狂った奴らでさえ、おとなしい生徒になって先生方の話しを聞いている。
生徒会長の俺は、代表席といわれる席に座っている。
組のトップだとしても、代表席は生徒会のみが座る場所であり、華組艶組の生徒たちのトップだという証になっている。
なのに、なぜ。
四条はこの場所を選ばなかったんだろうか。
「桜坂さん」
小さな声で水野が話しかけてきた。
今は副理事長が話しを始めるために、マイクのあるスピーチ台へと移動をしたあたりだ。
「……何だよ」
「何もありません。ただ」
「何かあるじゃねーか」
「艶組の二年生たちに、よからぬ動きがみられるんですが」
「“革命”でもしよう、ってか」
綺麗なスーツを着こなせるほどのスラリとした長身で、それだけで絵になるような美しさを持つ男性が壇上に立てば、生徒たちは大人の魅力に魅了される。
そんな大人の美しさを持つ、若い副理事長が話しを始める。
内容は、俺たちの未来について。
そんな話しをされたって、困る。この先にある未来は、華組か艶組か、いや二年生による革命が待っているのか。
それよりも俺たちの将来だなんて。もっと分からないだろう。
副理事長の話しの間に、水野の言葉が聞こえた。いや、ぶつけられた。
「狙いは、桜坂さんの失脚です」
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