クリムゾン・ブラック

□ラッキーデイズ
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同じクラスの男子。
葛生遼太郎。17歳。
身 長:168センチ
体 重:60.9キロ
血液型:AB型
髪の色:黒色
瞳の色:黒色

儚げな美少年。容姿端麗・頭脳明晰・品行方正であり学校の人気者。
その彼が、俺に話しかけてきた!
いや、正しくは、俺が密かに思いを寄せている彼が、俺に話しかけてきたのだ。


「あ、いや‥別に」
「そう、ならいいや」


これが俺と葛生のファーストコンタクト。初めての会話。

オプションに愛しの葛生エンジェルの優しい微笑み。
一生の宝物にします!
ああ、なんて可愛いんだ。可愛い。どうしたらあんなに可愛らしくなれるんだ!!

ああ、何で男に生まれてしまったんだ! 俺は!!
女の子に生まれていれば趣味の料理や裁縫だって隠れてコソコソやらなくて済むし、葛生に真っ直ぐ告白できる。
そして葛生の愛を、真っ直ぐ受け止めることができる。

今の俺が葛生に愛の告白をしてみろ。ただでさえ鋭い目つき。
女の子で生まれても、この鋭さが御健在かもしれないな。クソッ、どうしたらいいんだ!!


「Aが頭抱えてるぞ」
「葛生をいつ殺ルか考えてんだよ。ほら、まだ睨んでるし」
「うわっ、こっち見たぞ。目、合わせんな。殺されるぞ」


……傷つく。
暴れたことなんてない。
そもそも、模範的で優等生である俺が、不良と呼ばれるようになった理由だ。
はっきり言って伝説。噂が膨らんだことなのだが。
・絡んできた先輩を睨んだため。
・殴りかかってきた先輩を殴り返したら、先輩の歯が折れてしまったため。
・友達が少ないため。
・背が高いため。
・目つきが鋭い時があるため。
・たまに遅刻するため。
・あまり喋らないため(友達が少ない)

まず先輩を殴ったことは御座いません。どこで一体全体そうなったんだ。
未成年者の喫煙反対。同じく飲酒反対。

性格は温厚。
ファッションはチャラチャラした服なんて持ち合わせておりません。自分の身分に適しているおとなしい格好をしています。
なのに、どうして。
どうして、俺が不良と呼ばれなくちゃならないんだ。


「……は、花井さん、立ってください」
「すみません」

先生の声でハッとして謝罪する。周りはみんな起立して、俺が立つのを待っていた。
どうやらチャイムの音が聞こえなかったらしい。

左斜め前の席で立っている葛生が俺をチラっと見て、目があって、世界が3秒止まったような気がした。
そうして葛生はクスっと笑って、俺に背を向けた。
葛生可愛い。ってのと、この失態を見られてしまい凄く恥ずかしいという気持ち、どちらが凌駕しているのかは分からなかった。

「Aの顔、真っ赤だぜ」
「キレてるキレてる」
「めっちゃキレてるぜ、絶対」


分かったことは、どちらの気持ちが凌駕しても俺の顔は真っ赤になってしまうということだった。

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