クリムゾン・ブラック

□リバースアゲイン
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あれから毎日、葛生が話し掛けてくる。
屋上でのことは、何事もなかったような顔をして、前と変わらない微笑みを携えて、俺に話し掛けてくる。
俺も色々と考えてみるけれど、葛生のことを嫌いになったりは出来なかった。好きだけど、好きじゃないみたいな。いや、好きなんだけど。

「花井君」
「……」
「あのね、花井君」
「……」
「花井君」
「…………何?」

どうしても避けてしまう。
それでも葛生は、俺の冷たい反応にもめげずに話し掛けてくる。
屋上の一件で、葛生からのアタックは日増しにエスカレートしているような気がする。

「Aを相手にすんな」
「Aに何かされたのか?」
「葛生、関わんない方がいいって」

「……花井君」
「葛生、俺に関わんない方がいいんじゃないの?」

どうしてもウェルカムモードにはなれないんだ。周りの声が、今までよりも聞こえるようになった気がして、そのイライラが態度に出てしまう。
俺は、大人じゃないらしい。

それから授業と授業の合間になると、葛生が話し掛けてくる。
クラスメートも『葛生は花井に何らかの命令をして、クリアしないと血祭りにされる』という噂まで流れ始めた。
だから、血祭りだなんてしないっていうのに。

そうして、帰り道、ふと携帯電話を開いてみる。
葛生からあれほどのアタックがあったというのに、メールも電話も一件もない。
……何がしたいんだ。


「花井敦さん、ですか」

俺の名前を呼んだ彼は、あの時、学校になぜか居たスーツ姿の男性(用心棒?)だった。

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