クリムゾン・ブラック

□エンドレスラバー
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葛生は大学生で、俺は葛生財閥系の会社しかも本社(壱哉さんが働いていたところ)に高卒で採用され、壱哉さん直属の部下になるという異例の大抜擢。
それもこれも葛生のおかげ、だけど。

「花井さんは、私の二代目ですね」

須佐さんが、そう言って微笑んだ。
俺が須佐さんの二代目ってことは、きっと、俺が葛生を支えていく。そういうことなんだろう。
須佐さんは厳しくも優しく仕事を教えてくれて、葛生兄は改心したらしく、仕事が終わっても優しかった(ちょっとぶっきらぼうになるけど)。

俺たちを案内してくれた伊藤さんは主任になっていて、次期総帥候補者の1人から次期総帥に選ばれた壱哉さんも今までよりも仕事に熱心になっていた。

俺は葛生との大学生活を夢見ていたけれど、可憐な葛生のお姉さんに「先に会社に入って、葛生の先輩になってあげて」と言われちゃ仕方ない。
須佐さんみたいにスーツが似合う男になりたいぜ。

俺は、家族に『葛生と付き合っている。』そう告げた。オヤジも母さんもショックを受けたようで、俺は母さんを泣かせてしまった。

「敦、お前が進む道は簡単じゃない。世間がお前たちを非難するかもしれない。本気で愛しているなら、何があっても逃げちゃダメだ。真っ正面から、その問題に立ち向かわないと」
「あっくん」
「ママ…、今はパパのターンで」
「あっくんの人生よ。悔いのないように生きなさい。好きな人が同性だったなんて、よくある話よ」
「よくある話ではないよ…、ママ」
「とにかく、あっくんが幸せならママもパパも嬉しいわ」

俺の家族は最高です。
こんな息子を愛してくれている。
ありがとう、母さん。父さん。
本当に、俺は幸せです。

それから、俺は葛生グループの会社に入社して、一人暮らしをスタートさせた。
平均的な普通のアパートだ。
そこで、一人暮らしをスタートさせた次の日から、彼と一緒に住んでいる。

「ただいま」
「おかえり、花井君」

扉を開けたら、葛生が居る。
愛おしさで胸がいっぱいになった。

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