REQUEST
□愛のある話
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キリ番踏みましたーて事で要望がありましたのでリクエスト小説です。テーマは恋愛ものをです。残念ながら実体験ではありません←
私には恋人がいる。
「おはよう。気分はどう?」
「…普通」
「そうか。良かった」
彼はまず始めにいつも同じ事を聞いてくる。
そして、
私はまず始めにいつも同じ様な言葉を返す。
それが、私達の朝。
「パンとご飯、どちらがいい?」
「甘くないの」
「だからそれじゃ困るんだって…」
「甘くなくて柔らかいの」
「はいはい…」
そして、彼は毎日同じ朝食を用意する。
チーズベーグルにミネストローネとミモザサラダ。ドリンクは彼特製のホット・レモンティー。
「はい、あーん…」
「………」
彼は毎日ご飯を食べさせてくれる。
「次は」
「レモンティー」
「あいよ」
彼が私の口元にカップを近付ける。
「…美味しい?」
「………」
「ねえ、美味しい?」
私は、
まだ、
彼の顔を視たことが、無い。
「あ、包帯…そろそろ換えなくちゃ…ね」
「ねえ」
「何?」
「…好き?」
「え…」
「私の事、好き?」
「………」
すき、だよ。
彼が私を監禁し始めてから約十年。
私は多分、
もうすぐ二十歳になるはずだ。
★
彼女を見つけたのはそう、きっと十年前の春。昼下がり。
僕は高校生一年生で、
君は多分…小学生位だったと思う。
ある学校の帰り道。
初めて君を見かけたとき、正直にまずこう思った。
ああ、
これはもう死んでるな。
…今でも覚えているよ。
身体の節々がぐちゃぐちゃになって、
更に顔面までもがほぼ滅茶苦茶のぐちゃぐちゃにされてしまった君を。
「………ああ」
僕は怖くなって走り去ろうとした。
僕は何も知らない。
僕は何も視ていない。
僕は完璧無関係。
しかし、
神様はそれを許さなかった。
「………し」
「……………え」
「…ころ………ひとごろ…し…」
「………は?」
「………」
「………」
君が、口をきいたんだ。
「いたい…いたい…」
「………」
「ひとごろ…し…」
僕は、思った。
その声が、
見た目に似つかわしく無い程に、とてもとても可愛い声なんだな…と。
「…一緒に、帰ろう」
「………」
「君が好きだ。だから、一緒に帰ろう?」
「………」
彼女は、
殆ど硬直してしまった首を僅かに動かして頷いた。
僕は笑った。
そして、
この少女をどう治せばいいのかと、少しずつ少しずつ考えだした。
…彼女の傍には、
更にぐちゃぐちゃにされた大きな塊が二つあったのだけれども、
これは全然眼に入らなかった。
僕はその日から、
彼女の奴隷になったのだ。
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