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□shining You
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「隊長、太陽と月どっちが好きですか?」
「…月」
問われた彼は、空を見上げながら答えた。
「太陽に照らされて輝く、自分の力では光れない、そんな月がいいんですか?」
「そんな深い事まで考えてねぇよ」
振り向きざまにフッと軽く笑いながら、彼はそう言った。
「ただ…綺麗だろ。暗い夜空を照らす、白い光って…」
再び、空を見上げ。目映い光に目を細めるようにしながら。
その、光を受けた銀の姿を見つめて、彼女はまた続ける。
「隊長……隊長は、月みたいですね」
「は?」
意味が分からない、とでも言いたげな彼の顔。
彼女は優しく微笑みを返し、自分も空を見上げる。
「だって、自分では決して目立とうとせず、闇を優しく照らして、遠くから見守っていてくれる……隊長みたいです」
「……………」
彼女の言葉に彼は、少し驚いたように目を大きくした。
それでも、言葉にも態度にも出さず。
ただ、前を見つめたまま。
「月は・・・・太陽の光が無いと光れねぇんだよ。暖めることも出来なければ、それだけで照らし続けることも出来ない。自分を照らしてくれる、大きな光があってこそ……やっと自分も輝ける…」
「それでも、あたし達は月を見て歩んでいけます。」
にっこりと笑む彼女に対して、彼は遠くの夜空を見つめたまま。
彼女はその視線の先を追おうとはせず、ただ真っ直ぐに目の前の光をその瞳に写していた。
例え自分がどんなに傷を負っても、折れずに必ず護ってくれる、陰ろうとも、何を捧げても、そこにある、そんなあの月が、貴方の姿と被る……。
いつも、強い、背中だけを、見せて――…。