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□ふたり
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ある日の事、瀞霊廷に一人の叫び声が響き渡っていた…。
「市丸隊長〜!!何処なんですか市丸隊長ォ〜!!?出て来てくださいー!!」
声の主は、三番隊副隊長,吉良イヅル。
呼んでいるのは、自らの上司、三番隊隊長,市丸ギン…―。
「何してんだ、吉良」
「ひ‥日番谷隊長っ!!あっ!市丸隊長見掛けませんでしたかっ!!?」
そんな彼に何事かと尋ねたのは、十番隊の日番谷だ。
それもその筈、そこは三番隊を遠く離れた十番隊舎の近く…
吉良は突然現れた日番谷に驚きはしたものの、それどころではないのであろう。探し人の目撃情報を集める…。
「市丸か?見てねぇな」
「そ‥そうですか…」
「何だ、また居ねぇのか‥」
「そうなんですよっ!!隊長に確認してもらわないと終わらない書類がまだ大量に残ってるっていうのにあの人は…!!」
日番谷の言葉が火を点けたのか、いきなり過熱して愚痴り出す。
「そうか…お前も大変だな」
「ぁ‥し、失礼しましたっ!!日番谷隊長にこの様な事を…」
上司の愚痴をたまたま出くわしただけの別の上司に言ってしまったのだ。吉良は我に返ると必死に謝る。
「気にするな。お前も苦労するな…」
「はい、まぁ…」
あ‥そういえば日番谷隊長も…。
「いつから居ないんだ?」
「…は?」
「市丸だよ。いつから居ないんだ?」
考えている最中に話しかけられ、うっかり聞き返してしまった。
「あ‥朝は居たんですけど、昼食を食べに出たきり…」
「あぁ…」
何か知った様な返事を返す日番谷。その心はといえば……
そう、彼にもどこか覚えがあるのである。副官,松本に関して…
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