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□いえない言葉、君にだけは
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現世空座町、夜も更け行く頃。
この様な時間にこの様な街を出歩いている人間は、殆どいない。



ただ例外、『出歩いている人間』はいなくとも、刻限など気にもせず外へと姿を現す者、在り。



今宵も屋根の上、小さな影一つ……。




そこは黒崎医院、オレンジ髪の高校生・黒崎一護と、以下愉快な家族三人が暮らす家でもある。



最近では時折此処に「奇妙な連中」が訪れては、これは何時もの事であるが「騒がしい」と評判だ。




“奇妙な連中”……先程まで、黒崎一護と尸魂界より派遣された六人の“死神”が、破面との戦いについて『話し合って』いた――。



真面目な内容の話の割に、松本乱菊始めとする死神達に緊張感が見られないのは、何時もの事。

やれば出来る奴等なのだが、こればかりはどうしたものか…。



そんな話し合いの後、引率者とも言える日番谷冬獅郎は一人黒崎家の屋根に登っていたのだ。


煩い周りを他所に、自分は冷静であるのは常。



静かな街、身に纏う夜気、ぼんやりと彼方の空を見つめ、こうして一人屋根になど登りたくなるのは、何時もの癖か……。






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