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□お前が悪いんだ。
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「あぁ、違いますってば!」

初めて海に出たオレは、緊張と恐怖で上手く操縦出来なかった。

初めてということで、ピカードがそばにいてくれている。

「‥なんか動きが悪いですね‥‥。大丈夫ですか?酔ったりしましたか?」

心配そうにオレの顔を除き込んでくる金色の瞳。

「‥大丈夫だ。」

別に酔ったりしてないし、特に異常はない。

そう思っていた。

「顔色‥悪いですよ‥‥?」

大丈夫。
と言おうとした。

が、突然視界が曲がり始め吐き気を催した。

「!!ガルシアっ!」


――――――――――


意識が戻り、起き上がろうとして
自分が今、砂浜に寝かされている事に気付いた。

「あ、気が付きました?」

少し離れた所にいたピカードは、オレの意識が戻った事に気付き駆け寄ってきた。

驚きましたよ。
いきなり倒れたので。

そういいながら目の前で笑う青年。

「‥‥ジャスミンとシバは?」

「え?あぁ、先ほど近くの村に薬草大量購入してくると‥‥。」

「そうか‥」

「‥‥。」

「‥‥‥。」

話題がなくなり、沈黙が訪れる。

二人だけののんびりとした時間が流れる。

このまま時が止まってしまえ。

そう願う自分がここにいる。

風が吹いてきた。

心地よい風が頬を撫でる。

目を瞑って風を感じてみようと目を瞑った瞬間、何かがオレに抱きついてきた。

驚き目を開けると金色の瞳と視線が絡み合う。

「すこし、こうさせてください。」

座っているオレに横からしがみつくように抱きつくピカード。

その姿をみた時、オレの中で何かが切れた気がした。

ひょいとピカードを持ち上げ
自分の上に乗せて、お互いに向き合う形にする。

「っ//ガルシアっ?//」

驚き頬を高揚させるピカード。

「‥‥お前が悪いんだからな‥‥‥‥」

そういって青年を抱き寄せた。

「ガ‥ガルシアっ//」

きつく、強く抱き締める。

ピカードは痛いと涙目で訴えてくる。

その顔があまりにも可愛らしく、あまりにも色っぽかった。

顔を徐々に近付けていく。

「兄さーん!!ピカードー!!」

後少しの所でジャスミンの声が聞こえてきた。

ピカードは驚き飛び上がった。

「まだ、姿は見えませんね‥。」

見られなくて良かったと言わんばかりの表情をしている。

そんな彼にオレは最後に耳元でささやいた。

『次、覚悟してろよ。』


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