BOOK

□何度だって‥‥‥
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「ガルシア、二人でレムリア行きませんか‥?」

ボクは彼に問いかけてみた。

仲間の間に沈黙が走る。

ダメかもな‥‥。

「ガルシア、行ってきなよ。」

沈黙を破ったのはロビンだった。

「それがいいですわ。」
「そうよ、兄さん。
迷うことはないわ。」

続いてメアリィ、ジャスミンが。

「うん、そうね。
大人数で行くと追い出されそうだし、前に行ったときはのんびり出来なかったしね。」
「そーそー!
いっそのことレムリアに住めば老けが「ジェラルド!!」えー」

ジェラルドの声をジャスミンが遮った。

多分、老け顔だと言いたかったと‥‥。

「そうだな。みんなこういってるし、行くか。
ピカード。」

彼はボクの名前を優しく呼んでくれた。


――――

レムリアにつくなり、ボクはガルシアをある場所へ連れていった。

「‥‥こんなところに洞窟なんてあったんだな。」

「はい。昔は母さんと良くここに来てたんです。
中は暗く寒い上に狭いので気を付けてくださいね。」

「あぁ。わかった。
じゃ、こうするか。」

彼はそういうとボクの手を握りしめた。

洞窟の中から寒い風が吹き、その風によって奪われた手の体温。

その冷たい手が、ガルシアの温かな手に包まれる。

ガルシアの左手にはグローブが握られている。

わざわざ外してくれたのだ。

けれどボクは恥ずかしくて、そっぽを向いて歩き出した。

ひんやりとした風が身体を撫でる。

体温は確実に奪われているはずだが、繋いだ左手のお陰か温かかった。

「ここです。」

ボクはガルシアと手を繋いだまま洞窟の最深部にたどり着いた。

「クリスタル‥か?」

壁に無数のきらめき。

壁のそばに二つの灯火。

その光を反射して最深部の部屋は僅かながら明るかった。

「はい。そうです。
ちょっといいですか?」

ボクは温かな彼の手から離れた。

彼の体温が手に残っている。

ボクは壁から一つの小さなクリスタルを取った。

それを、持ってきた装飾された金属にはめる。

「これは、レムリアン水晶という石なんです。」

革紐を通し、首にかけられるようにする。

「レムリアン水晶は失われた文明、レムリアでできた石で、
古代レムリア人の生まれ変わりとされているのです。」

「レムリア人の生まれ変わり‥。」

「これは、ガルシアが持っていてください。」

そういい、ボクは手に持っていたレムリアン水晶をガルシアに渡した。

「ボクはガルシアからしたら相当な年です。
これからこの先、何年い「それ以上いうな。」」

ガルシアはボクの言葉を遮ると同時に視界も遮った。

ガルシアの匂いがして、体温が感じられた。

「ピカード、つめたくなってる。」

「ここは寒いので‥。」

とても温かい。
人の体温はこんなにも温かいものなのかと気付かされた。

意識がぼぅっとし始めた。

寒さのせいだろうか。

「ガルシア。
寒さのせいか、ぼぅっとします。」

「とりあえず、ここからでるか‥。」

ボクから離れて、彼は焦ったようにいう。

「もう少し‥二人でいたいです。」

ボクは何を言っているのだろうか。

わがままはガルシアを困らせるだけ。

「‥‥。
じゃ、オレが温めてやる。」

そういうとガルシアはマントを外し、それでボクを温めてくれた。

そして抱き締められる。

「無理はするなよ。」

「ありがとうございます。」

沈黙が走る。

話を考えることすらできない。

「ガルシア‥。」

「なんだ。」

愛しい彼を呼ぶ。
視線が重なる。

「大好きですよ。」

「なっ‥!」

「ボクはガルシアの事が大好きなんです。」

何度だって言いますよ。

「ガルシア‥‥その‥‥キ‥っ!!」

その言葉の途中で唇がふさがれた。

頭の中が白くなる。
なにも考えられない。

「オレもだ。」

「大好き‥‥。」

――この言葉、何度だって言いますよ。


End
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