BOOK

□過去と現在。
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オレは握ったこの小さな手の温もりと、キミの笑顔を護りたかったんだ。


ちゃんとキミの顔を見れたのはヴィーナス灯台で実に三年ぶりだった。

その時のキミの顔は、怒りと悲しみに満ちていた。

まるで、オレを憎んでいるようだった。


そして今。

また目の前にキミがいる。

カーストとアガディオに破れ、地に膝をついている状態だった。

「ガルシア‥今は君を信じてマーズスターを‥‥。」

そういって少しだけ笑ってくれた。

あの頃の笑顔はない。

今目の前にあるのは大人びたキミの顔‥‥。

ロビン‥‥‥‥。

オレは‥‥オレは‥‥‥あの時、間違えてしまったのだろうか‥‥。

あの笑顔を護りたかった。
ただそれだけだった。


カーストとアガディオに言われたようにマーズスターのを持ち、オレは灯台を登ろうとした。

「ガルシア。
ボクも行きます。」

後ろからピカードがついて来る。

「その方が心強いわね。
兄さんこっちは大丈夫だからピカードと行ってきて。」

わかった。
とだけ伝えるとオレ達は上を目指し、歩き始めた。

「ガルシアは、ロビンが好きなんですね‥‥。」

ボソッとピカードが呟いた。

「‥なぜ気付いた。」

歩みを止め、聞いた。

「見てればわかりますよ。
ボクの感‥ですが、ガルシアは考えてましたから。
なんで、ロビンはあんなに変わってしまったんだ‥‥‥。
みたいな表情してましたよ。」

「‥‥‥。」

返す言葉がない。

心を読むエナジーは習得していない彼がそこまで気付いたことに驚いた。

「ガルシア。
一ついいですか?」

俯くオレを金色の瞳が覗き込んでくる。

「なんだ?」

俯くのをやめ、真っすぐと彼を見据える。

「ガルシア。
人は変わっていく生き物なのです。
幾年もの年月を重ねるごとに人は変わります。
レムリアでもそうです。
例え、時が過ぎるのが早くても遅くてもです。
三年前、確か彼は14歳でしたよね。
今は17歳。
ましてやその間に彼は色々な経験をしてきているはずです。」

「そう‥だな。
オレは少し昔を見すぎていたようだな。」

わかってもらえたようですね。
そう微笑むピカード。

「ピカード、ありがとう。
に、してもよく気付いたな‥‥。
まぁいい。
行こうか。
最上階へ‥‥!!」

そういってオレは歩きだした。

「よく気付いたな‥‥ですか。
好きな人の事はよくみるものですよ‥‥ガルシア‥‥‥。」

ピカードが独り言のように呟いた言葉は静寂が掻き消してしまい、ガルシアには届かなかった。


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