BOOK
□航路
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何もない毎日。
錬金術が解放され、世界が平和になった。
そんな平和な海に船がポツンとただよっていた。
「平和‥‥‥‥ですね。」
青い髪の青年‥‥ピカードがつぶやいた。
世界に平和をもたらした
ハイディア戦士達。
彼も彼らのなかに混ざり、錬金術を解放した一人だ。
あれから30年。
彼は10歳も歳をとってないように見えると彼を知る人はいう。
レムリアという時がゆっくりと進む所に住むレムリア人であり、さらに黄金の太陽を浴び、さらに時がゆっくりと進むようになってしまった。
「ガルシアは元気でしょうか‥‥‥。」
ふと空を見上げ呟く。
「たまには会いに行きますかね‥‥。」
そういい、航路を変えようとした時だった。
「ピカード船長。」
後ろから少女の声が聞こえた。
「あ、ノーブル。
どうしたんだい?」
ノーブルとはメアリィの娘だ。
クラウンという弟がいるらしい。
「次は何処へ‥?」
航路を変えたので聞いてきたのだろう。
「ボクの大好きな人の所へ‥‥です。」
「大‥‥好き‥‥‥‥。」
「はい。ハイディア戦士の方々の所ですよ。」
ノーブルは大好きという言葉を繰り返した。
−大好き。
どうとっているのだろうかわからない。
ガルシアは今頃なにをしてるでしょうか‥。
ガルシアに会うと考えるだけで胸が躍る。
が、ガルシアにはシバがいる‥‥‥。
ボクは幸せそうな二人を見るのが辛くて逃げ出した。
ガルシアと共に同じ街に住むのが辛かった。
あれから30年。
もう大丈夫かな‥‥。
「ノーブル。行きますよ。
もしかしたらまたお世話になるかもしれませんし、挨拶に!」
青い空の下、青年は青い髪をなびかせて目的地へと航路を変えた。
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